趣味を極める人、趣味のない人 先週水曜日の回答

駅前のドトールより
イチロウです。

最近は以前と同様ドトールに行っていますが、
院内コーヒーもかなりおいしいので助かります。

当院に非常勤でこられて17年以上になるある先生は
最近、かなりある趣味にハマってしまい
これからの目標は、防音室を家に作ることだそうです。

その趣味はかれこれ10年前くらいから始められ
全くのど素人だったのに、時々学会などの演奏会にも誘われたり
今、通っている教室の発表会に出る様になったりして
すでに自分の血と肉となっているくらいの
サックス好きになっています。

一方、私はコロナ前に始めたウクレレは挫折しました。
今は、無趣味に逆戻りです。
むりくりあげれば、マジックやら読書やら、ドラマ見ることだの
野球観戦など色々挙げられますが、
血や肉となっているものは一つもありません(泣)。

先生は何か極めている趣味はおありでしょうか?
さて、先週水曜日にアップした症例の回答ですが、、、

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メルマガ読者の先生はこちらから

MRIでもあればよかったのですが、
結局臨床的にかなり詰められてしまった(可溶IL-2レセプ=16,700)ので、施行されず
まれな症例だけに 画像診断医 的にはちょっと残念です。

ダイナミック造影では脾腫を認め、腫大した部分に類円形で内部均一に濃染する
腫瘤が見られます。辺縁が淡く濃染、中央はやや濃染不良で、
後期相でより濃染してはいますが、脾臓ほどは濃染していません。
冠状断、矢状断で見ると上記腫瘤が複数あることが判明しています。

回答は、脾臓原発の 悪性リンパ腫 でした。
ご提示させていただいた画像は実はわずかしか描出されていなかったので
とても気付きにくかったのですが、脾臓の腫瘤の内側に
三角状に同様の吸収域の腫瘤が認められ、内部を血管が貫通していたのです。

ふざけんなよと 言われそうなので
もう少しわかりやすいスライスの横断像と冠状断像をご提示します。
以下。三角状に見える脾門部の腫瘤内を血管が貫通していることが明瞭です。

したがって、腺癌系の原発巣からの脾転移か悪性リンパ腫となります。
実は直腸癌の原発巣があったので、読影では迷いましたが、
実際には 可溶IL2 レセプターが 16,700 U/ML と著明高値
LDH3 も増加しており、悪性リンパ腫を強く疑いました。
同時に胃癌が見つかっており、そのステージング中に見つかったものでした。
脾臓摘出術のみがまず行われ、
Diffuse large B-cell lymphoma の診断となりました。

さて、ここで原発性の脾臓の悪性リンパ腫の論文を紹介します。
もちろんあの黄緑の肝胆膵のMRIのパクリをするわけではありません。
論文の原本を読んでいます。
しかも、あの黄緑本は2021年発刊にもかかわらず引用論文は2006年のAJRのみ
です(実際脾臓原発のリンパ腫の画像論文は稀少)。ちなみにAJR の現在のインパクトファクターは2019年までは3.01とやや低めでしたが
今回の論文は2013年の発刊時は、3.534 とAJRに勝るとも劣っていません。
紹介しても問題なしと思われます。

Li, M, et al. Imaging findings of primary splenic lymphoma: a review of 17 cases in which diagnosis was made at splenectomy. PLoS One. 2013 21;11:e80264
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3837000/pdf/pone.0080264.pdf

原発性脾臓リンパ腫(primary splenic lymphoma: 以下 PSL と略す)
17例の病理データと画像データをレトロスペクティブに解析
CTは16人の患者に、MRIは4人の患者に施行。その表1を引用改変したものを以下

PSLの画像データは肉眼的病理に基づき4つに分類
タイプ1: 均一な脾臓の腫大:1例
タイプ2: 粟粒結節:0例
タイプ3: 様々なサイズの多発腫:4例(当院の症例に相当する)
タイプ4: 孤立性の大きな腫瘤:12例 と最多
病期としては Ahmann の基準に基づき 3つの疾患段階に分類
ステージ1: 腫瘍が脾臓に限局
ステージ2: 脾臓の関与と脾門部リンパ節の関与(当院症例に相当)
ステージ3: 脾臓あるいはリンパ節腫大を超えて、肝臓またはリンパ節に病変があるもの

結果:男性12名、女性5名 と男性優位 年齢中央値=54歳、年齢は31〜74 歳
臨床症状:左上腹部の痛み8例、腰の痛み2例、体重減少1例、発熱1例
5人の患者は無症状。偶発的に見つかった(当院症例は左上腹部違和感ありました)。
病理結果:17例のうち、16例は非ホジキンリンパ腫(NHLと略す), そのうち
びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)が9例
と最も多かった。
splenic marginal zone B-cell lymphoma (SMZLと略す)が4例
follicular lymphoma (FLと略す)が2例
diffuse red pulp small B-cell lymphoma (SDRLと略す) が1例
nodular lymphocyte-prominent Hodgkin lymphoma (NLPHLと略す) が1例(唯一のホジキンリンパ腫)
画像結果:
CT所見:16例の患者がCTを受け、1例はMRIのみ
16人のCT患者のうち1例のみ単純CTだけ、他15例は造影のみか単純/造影
7例で行われた単純CTでは4例は正常脾実質より低吸収域、3例は等吸収域
造影された症例のうち全例が背景脾実質よりも低吸収域の軽度の造影効果を示した。
14例が筋肉と同等の軽度濃染で、1例のみは肝臓組織に匹敵する明瞭な造影効果を示した。12例が壊死の所見を呈した(当院例も中央部が壊死)。この論文では血管貫通の有無は言及されていません。
症例1が画像提示されています。CTのみ引用します。


MRIについては大したことは記載されておらず、当然施行された4例は全例拡散強調像上高信号です。T2WIで2例が高信号、1例が等信号、1例が低信号。T1WIは脾実質よりすべて低信号。
2例膵臓や胃などの隣接臓器浸潤を呈し
9人の患者が脾門部と傍大動脈にリンパ節腫大を認めた。

以上まとめると 脾臓原発悪性リンパ腫17例を病理と対比 男女比は男性に多く
年齢中央値は54才(31〜74 歳)、左上腹部の痛み8例など有症状は12例、無症状も5例
病理は16/17でnon Hodgkin lymphoma1例のみHodgkin lymphoma
non Hodgkin lymphoma のうち9例が diffuse large cell B-cell lymphoma
CT, MRIなどの画像検査で 12例に壊死の所見が見られ、ほとんどが軽度の濃染を示し
周囲の正常脾臓の濃染より弱い低吸収域を示した。拡散強調像では拡散制限が全例見られた

他、Nakamura T, et al. A Surgical Case of Primary Splenic Malignant Lymphoma Complicating Chronic Hepatitis C. Tokai J Exp Clin Med. 2016 Mar 20;41(1):30-4.
では1例報告がされていますが、単発腫瘤を報告し、ダイナミック造影CTが
提示され、早期に乏血性で、後期相でより濃染してくる遅延濃染の腫瘤を報告し
早期相ではもちろんのこと、後期相でも背景脾臓実質より低吸収域の腫瘤として
報告しています。彼らの論文では脾臓リンパ腫では脾臓悪性リンパ腫の
65%がDLBCLで、その98%がB-cell-lymphoma と言っています。
また、HCV抗体陽性患者が30%という論文を引用し、
患者にHCVが感染すると単球とリンパ球に直接感染するため、
リンパ増殖性疾患の発症につながると考察で述べています。以下Nakamuraら図2,3より

黄緑本が引用しているLuna A らのAJR の2006年の論文は大したことは
述べられていません。総説論文ですが、
Luna A, Ribes R, Caro P, Luna L, Aumente E, Ros PR. MRI of focal splenic lesions without and with dynamic gadolinium enhancement. AJR Am J Roentgenol. 2006 Jun;186(6):1533-47.
古い論文すぎて、この時はT2WIで低信号となることは転移との鑑別になる
と記載されていますが、上記Li Mらの論文の様にT2WIの信号は高信号、等信号、低信号
と様々ですので低信号だった場合はその可能性は高くなるかもしれませんが
腺癌系のメタもT2WIはさほど高信号にならないのであてにはなりません。
一般的には拡散強調像の拡散制限がより強いという点がメタとの
鑑別かもしれませんが、Luna の論文は古いので腹部に拡散強調像を
施行していなかった時代のものでそんな言及はありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16714641/
のFig. 15, 16を見てみてください。

以上です。

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年金を繰り下げ受給するなら国民年金でしょ。80才台男性脾臓腫瘤

院内コーヒー専門店から
購入して、読影室の昼休み中飲みながら

月曜日にFIREの話と年金は長生きしたときのリスク対策
という話をチラッとしました。

万が一結構長生きしてしまうと、
流石にほとんど働けなくなります。
そうなった場合にできるだけ多くの年金を受け取っておきたいと思うのは
ほとんどの人が思うことです。
貯金があれば、それを切り崩していくというのもありですが、
必要十分でなければ、不労所得となりうる年金の1ヶ月の受給金額は
多い方がいいに決まっています。

以前もお話ししましたが、65歳以上で年金を遅らせると
月ごとに毎月受け取れる年金が増える、5年遅らせると42%増え、
10年で84%増えるという
話をしましたが、それには在職老齢年金の仕組みから大きな落とし穴があることもお話ししました。

ここでは長くなるので、受給年齢を遅らせるのは
とにかく国民年金(老齢基礎年金)が鉄板であることは間違いありません。
特に65歳以上もそこそこの額を働き続けるのであればですが、、、
もちろん人によってそれぞれ稼ぎたい金額が異なるので一概には言えませんが
ある程度の年収は維持していきたいと考えているのであれば
在職老齢年金の仕組のおかげで厚生年金には受給を遅らせるメリットが少ないかほとんどないので

受給を遅らせるつもりであれば、収入とは無関係に受給年齢を遅らせ効果が得られる
国民年金(老齢基礎年金)にすべきということなのです。

細かい話を今日はできないのでこれくらいにしておきます。
では、今日の症例は80才台男性
胃癌診断をされたときのダイナミック造影CT検査で脾臓の多発腫瘤を指摘されました。

この症例も残念ながらMRIが撮像されていません。臨床診断で解決したからかもしれません。

どうでしょうか?

何を今更 EOBなんて勉強するんですか?

今週7/8で一旦販売終了します。

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FIREを欲しがる若い医師。昨日の回答

駅前のドトールより
イチロウです。

昨年から腰痛が改善せず、慢性化しました。
そのため毎日コルセットをしています。
また、1ヶ月前にも病気をして、体力的な部分での
キツさを感じています。

なので、どこまでどう働くのかをよく考える様になりました。
そうなると年金のことは絶対に外して考えてはいけなくなります。
そもそも年金とは、以前のメルマガでも書きましたが
何歳まで生きるとして、損する年齢、得する年齢という動画が
氾濫していますが、考え方が間違っています。

特に手に職を持っている人間で引退年齢がない場合は
引退する年齢は自分で決められるので
年金というものの考え方は長生きしたときのリスク対策、保険と
捉えるのが重要と思います。

よくメドピアのスレッドで30−40歳台くらいの医師が
早く働くのをやめてFIRE したいと言っているのを見かけますが
FIRE することがそもそも目的になっている様に見えます。
個人的には実際にはFIRE している人ほど 効率的に(人に忖度せず)ある程度働き
社会貢献的な仕事をしているものだという印象を持っています。
決してFIREしてブラブラしていることはない様です。

これ以上話すと昨日の回答編が長くなりそうなので、今日はこれくらいのぼやきで
では、ブログへ飛びましょうか。

昨日の症例は、非常に簡単なのですぐにわかったと思います。
69歳男性で、糖尿病、背部痛から上腹部痛があり
ダイナミックCTを近医から依頼されました。
画像はdynamic CT, dynamic MRIです。

CTではダイナミック造影で脾臓に単純CT上低吸収域結節を認め、
造影とともに徐々に辺縁から点状・結節状の濃染がみられ、それが
平衡相で内部に広がっていくという、肝臓でよく見かける所見を示しています。
もうこれだけで、血管腫と診断可能です。

消化器内科に紹介となり、内科から、造影ダイナミックMRIがオーダーされました。
T2WIで高信号を示して、比較的内部均一で、ダイナミック造影パターンはCTに類似し
拡散強調像では拡散制限はありません。ADCmap が高信号です。
なので、一般的に言われている脾臓の海綿状血管腫パターンです。

実はこの症例、病理がなく、臨床診断のみで経過観察となっています。
実際、脾臓を取るというのはよほど悪性が疑われないとやりにくいので
脾臓の血管腫の病理を確定することは難しいかもしれません。

Giovagnoni et al. Tumours of the spleen.
Cancer Imaging. 2005 25;5:73-7.  の論文では画像は全くないのですが、

脾臓血管腫の2つのパターンすなわち海綿状(ほとんどこちら)
毛細管性の2つが知られていることを述べ、
CTでは毛細管性の場合は、均一な造影効果を伴う、小さく、境界がはっきりした
均一な等吸収域から低吸収域の腫瘤
海綿状血管腫は、毛細管性より大きく、等吸収域あるいは低吸収域で
多かれ少なかれ、等あるいは低吸収域の嚢胞性部分を伴う
ダイナミック造影早期に早期に辺縁の結節状濃染を呈し、徐々に濃染が広がり
遅延相では均一な濃染となる と述べられ、肝血管腫との類似性に言及しています。
中心に散在性の石灰化、辺縁の弧状の石灰化を生じることがあります。

Gourtsoyianni S, et al. The Spectrum of Solitary Benign Splenic Lesions-Imaging Clues for a Noninvasive Diagnosis. Diagnostics (Basel). 2023;13:2120.
https://www.mdpi.com/2075-4418/13/12/2120

では剖検時に患者の最大で14%にもみられると言っています。
無症候性、孤立性あるいは多発性、成長はゆっくりなので、
症状や合併症(破裂、脾機能亢進症、悪性変性, 貧血、血小板減少、凝固障害)を
生じるのはずっと後である。
Klippel–Trenaunay syndrome, Kasabach–Merritt syndromeとの関係もいつもの様に
述べられています。であることは稀中のさらに稀。

この論文では、血管腫は境界明瞭で、直径が2cm未満の類円形病変で
石灰化や嚢胞性変化が最大で30%にみられる場合がある と述べられています。
超音波上高エコーが最も一般的。非造影CTでは低吸収域
T1WIでは低信号から等信号、T2WIでは高信号
ダイナミック造影では肝臓血管腫と類似していると述べています。
自然破裂は25%と言っていますが、少し多すぎる様に思われます。

Ros PR, et al. Hemangioma of the spleen: radiologic-pathologic correlation in ten cases. Radiology. 1987 Jan;162(1 Pt 1):73-7.
古い文献ですが、10例の脾臓血管腫を検討したものです。
古い論文ですがGiovagnoni らの述べた石灰化と同じことを言っています。
特に病変に石灰化や嚢胞性変化がある場合には脾臓血管腫の診断を示唆するとも述べています。
石灰化は過誤腫でもみられるので、嚢胞性変化は過誤腫と鑑別できるのかもしれません。
ただ、小さい血管腫には当然嚢胞性変化はありません。

肝胆膵の画像診断 改定二版のp620-21
では肝血管腫の造影パターンに類似するがperipheral nodular enhancement
の結節状がリング状に近い感じと 画像1例を添付しています
Gourtsoyianni S,らの提示画像のFig.6でもそんな感じの脾臓血管腫が添付されています。
以下引用

以上、基本的には脾臓の血管腫は海綿状血管腫が主体で
剖検では多い報告では14%と決して稀中の稀というわけではなく
T1WI で低信号、T2WIで高信号(肝と類似かやや低い信号)で
ダイナミック造影では肝血管腫と類似するも、リング状に近い濃染もある
大きくなると石灰化や嚢胞性変化を呈する。石灰化は必ずしも過誤腫との
鑑別点とはならないが、嚢胞性(おそらく肝臓と類似して均一な嚢胞)変化は
過誤腫と鑑別になるかもしれません。また、ダイナミックは遅延相では均一濃染し鑑別
が難しいですが、早期相は過誤腫は脾臓のそれに類似しあるいは不均一濃染で
血管腫は肝臓のそれに類似 と覚えておけばいいかもしれません。

以上です。

EASY PI-RADS 昨日締め切りました。

後、EOB も今週7/8で一旦締め切ります。

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休みを取る心理的壁 さて今日の症例はとても簡単です。

駅前のドトールより
イチロウです。

当院は、完全週休2日性を前院長先生が実行され
非常に働きやすくなりました。
特に放射線科医は当直ができないので
16年前に完全週休2日を実施してから
休みの日に出勤したのはIVR症例の止血で10回以下です。

さらに年間有給休暇が夏休みを入れて24日あり
初期の頃の休みが取れなかったmax 20日分は合算することができるので
勤続年数が長い私の場合毎年初年度は44日有給休暇を理論上は取ることができます。

とはいえ、日常業務があるのに44日取ることはnext to impossible(不可能に近い)です。
通常、辞める先生が一気に消化して消化する場合が多いです(そういう先生に限り
勤続年数は5年以内の先生が多い様です。やめてやるぜーという感じでしょうか)
そうは言っても今までほぼ消化できなかったので定年までの間になんとかゆっくりでも少しづつ
消化したいと思い月に数日づつ取っていこうと考えたのですが
部下の手前なかなか心理的に取りづらいです。

そこで、部下にも休みは自分で好きなだけとれと先日ついに言いました。
部下はまだ入職歴が4年目と浅いですが、繰り越しを入れて休みは年度始めに24日あります。
この24日を自由に取得しよう思うと夏休み4日を除くと
20日もあります。なので、念のため3日程度残すとしても17日も存在するのです。
単純に月に1日はデューティで取得してもらって、さらに5ヶ月は2日づつ消費することになります。
でも、それを言った瞬間に今月は半日休みを追加していました(子育て世代だからでしょう。子供の送り迎えなど用はたくさんあります)。

相手に言ったのに私の方の取得に対するブレーキがさほど緩和されていないのは何故でしょうか?

さて、私の休みに関する心理的抵抗感の話なんてどうでもいいですよね。
今回は比較的簡単な症例です。一髪で正解を言い当てることができるでしょう。
前回同様脾臓症例です。

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69歳男性で、糖尿病、背部痛から上腹部痛があり ダイナミックCTを近医から依頼されました。
画像はdynamic CT, dynamic MRIです。

診断はいかがでしょうか?よく見かけると思います。

本日締め切りです。21:00頃には終了します。

すでにご参加の先生は動画をご覧になっていることと思います。

Easy PI-RADS v.2.1 イーパイ2023年動画4週間見放題企画

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大谷さん。元気ありがとう。昨日の症例回答

院内のコーヒー専門店で購入して
読影室で飲んでいるイチロウです。

最近、野球観戦がつまらなくなり
いつの間にか大谷選手を応援しています。
妻は大谷くんがMVPを取ったあたり以降づっと注目している様です。
全く野球なんて興味ないのですが、、、

そういえば、昨日は29号を打ったにもかかわらず
チームは負けてしまいました。
チームは応援していないので、あまり気にならず
大谷くんだけを応援している自分もいます。

日本人の活力の一つとなっているのかもしれません。
(あ、野球になんの興味のない先生にはすいません。)

さて、昨日の症例ですが、、、

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喘息があるため、CT, MRI(乳がん症例なので造影できないということで
当時は乳腺DWIBSもスタンダードではなく、MRIは未施行で、CTは全て非造影検査)
は造影がなされていませんでした。それは残念ですが

左腋窩にLNメタ出現ということで、一緒に腹腔鏡下に脾臓を摘除しました。
ゆっくりとした成長だったのですが、明らかに増大している点で外科医は気になったのでしょう。

回答は 脾臓過誤腫です。
病理では被膜のない境界明瞭な腫瘤で、割面では内部に繊維化病変が認められ、
組織学的には白脾髄様構造は見られず、、赤脾髄様構造が主体をなすが、
脾洞は細く、、脾索優位な所見が認められるとあります。
また、肉眼所見同様に内部に繊維化が見られる。とも記載されています。

脾臓過誤腫の所見で、悪性所見なし
とのことでした。

脾臓過誤腫については 日本語教科書の 腹部のCT第三版 脾臓p294より
単純CT上脾実質と比較してわずかに低吸収域〜等吸収域を示し、腫瘤を指摘困難なこともあり
ダイナミック造影早期に不均一に造影され、平衡相では遅延性増強効果を呈し
平衡相で等吸収域を示すときは指摘困難であると述べられています。
赤脾髄の中の脾洞と繊維成分のなかに造影剤が停滞するためにそうなるのだと言っています。

肝胆膵の画像診断改定2版 p624-5 では
画像所見は多彩だが、主に脾洞組織と繊維成分の多寡に依存し、
脾洞組織が多いとVascularityが高くなると言われ、赤脾髄型や混合型では
脾実質に類似した所見を認めることは特徴と言われています。

血管腫との鑑別という点では血管腫ほどの高信号にならないということくらいでしょうか。造影遅延相は類似するでしょう。

Ramani M, et al. Splenic hemangiomas and hamartomas: MR imaging characteristics of 28 lesions. Radiology. 1997 ;202:166-72
では23個の脾臓血管腫と5個の過誤腫とを検討しています。
脾臓の血管腫は19個の血管腫が進行性の求心性造影パターンを示し、
遅延相で均一濃染を示し、肝臓のそれに類似していたと述べられています。
5つの過誤腫のうち4つのみT2WI が撮像され、3つは脾臓と比較して高信号、1つは低信号(様々な信号)
過誤腫のダイナミックでは早期にびまん性に不均一濃染を示し、遅延相で均一濃染しています。と述べられています。

また、Wang JH et al. Multi-modality imaging findings of splenic hamartoma: a report of nine cases and review of the literature. Abdom Imaging. 2013 ;38:154-62.
では9人の9つの過誤腫について述べられています。
非造影CTでは等吸収域3個、わずかに低吸収域 4個、3個の病変は石灰化あり。
MRIではT1強調像で等信号3個、低信号2個、T2強調像では不均一な低信号2個、わずかに高信号2個、高信号1個を示していました。結局様々
ダイナミック造影では動脈相でびまん性の軽度の不均一濃染が6個、顕著な濃染1個、造影なしが1個
やはり、信号強度の違いは上記病理像での脾洞組織と繊維成分の多寡に依存しているのかもしれません。

最後に Metser U, et al. Solid splenic masses: evaluation with 18F-FDG PET/CT. J Nucl Med. 2005 ;46:52-9.
で脾臓病変の良悪性の鑑別診断のPETの能力について述べています。これによると
脾臓の良悪性充実性病変鑑別における 18 F-FDG PET/CT の
感度、特異度、陽性的中率 (PPV)、および陰性的中率 (NPV) は 悪性病変がある場合
100%、100%、100%、100% で
背景に悪性病変がない場合は、それぞれ 100%、83%、80%、100%。 でした。
既知の悪性疾患を有する患者では、SUV 閾値 2.3 は、感度、特異度、PPV、NPV がそれぞれ 100%、100%、100%、100% で良性病変と悪性病変を正しく区別しました。 既知の悪性疾患のない患者では、偽陽性結果はブルセラによる肉芽腫性疾患によるものでした。

つまり、FDG-PETでの脾臓充実性腫瘍の良悪性鑑別は非常に診断能が高く
今回の症例もほとんど集積しておらず、良性と判断できます。

今回の症例も、造影が全然できない中、PET-CTは役に立ちましたが
手術が選択されて、結果的に結果を知ることができました。

以上です。

Easy PI-RADS v.2.1 イーパイ2023年動画4週間見放題企画

明日締め切りです。

また、EOBも7/8でいったん販売終了です。

何を今更 EOBなんて勉強するんですか?

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急増する消化器内科医、60才台女性の増大する脾臓腫瘤

駅前のドトールではなく
病院内のコーヒー専門店から 持ち帰って飲んでいる
イチロウです。

最近ローテーションしてくる若者の傾向として
手に職をつけたい研修医が増加している様に思われます。
若い段階からすでに人生の設計図を
お金を稼ぐという方向に行っている様に思われます。
そのためには手に職をつける、例えば消化器内科医です。
外科ほど大変なのは嫌だけど、内科系で手に職をつけられるのは
消化器で、将来潰しが効くのでは無いか、ぼんやりと思っている様です。

鼻いや端(はな)から大学に残って研究なんてやろうと思う若者は極めて少ない様です。
当然一般病院にこられている研修医なので
バイアスがかかっていることは間違い無いのですが、
少なくとも当院においては消化器内科医が急増しています。
こんなに必要なのかと思うほどいます。

そうなると病院は 真っ赤な方向へと進むことになるのでしょうか?
ちょっと心配はしています。
当然、消化器内科医が増えてくれば、競争が激しくなる分
開業後の(患者の取り合いで)食い扶持が少なくなることも考えられるのですが、、、

さて、以前も言いましたが、パソコン内を整理していて
症例が蓄積しているので
今日から数例の脾臓症例を提示します。

************************************

メルマガ読者の先生はこちらから、

脾臓疾患って極めて少なく、巡り合ったのに画像が不十分であるという
皮肉に巡り合わせてしまい
え、造影もないのかよ。MRIってとってないのかよ。というのも
ありますが、実際の臨床ではわかる範囲で判断しなければならないこともあるので
一応、挑戦してみてください。

では、

今日の症例は 60歳女性で 右乳Ca. にて手術を施行。
喘息があったため、全て単純CTのみで、造影のMRIもされていません。
また、当時はDWIBS の概念もなかったので、造影ができないという点で
乳腺のMRIも撮像されていません。

あるのは経過を追った単純CT と最後に脾臓を摘出直前のPET-CTのみです。
先生はどの様にお考えになりますか?
ちなみに、乳がんは切除されていますが、左腋窩リンパ節の再発をきたしたのと
同時に脾臓が腹腔鏡下で摘出されました。

今日は以上です。

EASY-PI-RADS は締め切りは7/2 まで。
視聴スタートは7/1 からです。
よかったらどうぞ。

Easy PI-RADS v.2.1 イーパイ2023年動画4週間見放題企画

また、今更聞けないEOBMRIは動画4つを一つのパネルに
まとめたものを作りましたので
順々にメール配信に従って送られてくるのを見るというより
先に動画だけでも視聴して勉強できる様にしました(7・8申し込み分まで)。

ご案内は7/8までです。

何を今更 EOBなんて勉強するんですか?

よかったらどうぞ。

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車に興味がないのに3兆円の不思議 回答

駅前のドトールから
イチロウです。

最近、ローテーションしてくる研修医は
全く車に興味がなく、
同僚放射線科医の息子さんも公立大学医学部に最近合格したのですが
その息子さんも弟さん(高校生?)も全く
車には興味なく、家の駐車場は家族の
4台の電動自転車だけが駐車しているようです。

にもかかわらずトヨタの営業利益は3兆円を超える活況ぶりです。
不思議です。

そんな話はどうでもいいですよね。
そういえば昨日の症例ですが、、、

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メルマガ読者の先生はこちらから

色々、回答してくださってありがとうございました。

回答は、背部の皮下の境界明瞭な腫瘤で
軟部組織吸収域を主体とした内部にそぼろ状の脂肪織を含有する
鑑別は Spindle cell lipoma,  liposarcoma などです。
弾性繊維腫も挙げたくはなりますが、深部の線状に脂肪の入り組んだ感じで
境界も不明瞭で、全体が紡錘状です。骨軟部疾患の画像診断(弾性繊維腫p372)より
ただし、血管腫も鑑別となるかもしれません。厳密にはliposarcomaは除外困難です。

Spindle cell lipoma は中年男性の頸部、肩、背部などの皮下に存在する
脂肪細胞、紡錘状細胞で構成される良性の腫瘍です。
本症例は何年か前からあったとのことなので、経過からも良性の可能性がありますが
完全に脂肪肉腫を否定するのは難しいかもしれませんね。

AJR 181, 2003, p1173-1429
Clin Radiol. 2020;75:396.

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寒気と頻尿。皮下腫瘤の回答は?

おはようございます。
病院のコーヒー専門店から持ち帰り
読影室より
イチロウです。

約1ヶ月前、読影していたら、急に寒気に襲われて
全身がだるくなって、それでも
部下もいることだし、頑張ってなんとか17:00まで読影を
続けていました。それでも
耐えられなくなり、数件を残して無念の定時帰宅を
しました。

翌日、目が覚めて直っていると思いましたが
やはり寒気と倦怠感は変わらず、37.5と
大した発熱ではなかったですが、大事をとって
休みとしました。

早速、近所に発熱外来で分離診療を行っている内科を
受診したところ、、、

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コロナもインフルエンザも陰性
じゃあ大丈夫だあと思ったのですが、よくよく思い出すと
夜中の頻尿がひどく、お恥ずかしいことに尿もれまで

ま、まじか、ついに俺も終わり、お迎えがきた
と思ってしまいました。

しかし、冷静に考えてみると
夜間の頻尿、と尿もれ、倦怠感、う?
医者ならわかるやないかーい。
もしかしたら、前立腺に炎症? と気がつき
近所にできた新しい泌尿器科を受診。

結局、直腸診をすれば、判断できますが
男性なので前立腺炎の方が確率が高いですね。と言われ(直腸診はせず)
ニューキノロン系の昔頻繁に使われていた
レボフロキサシン500mg7日間投与で直ってしまいました。

特に悪い遊びはしていませんが、残尿がある人は
なるそうです。自分としては頻尿は20−30才台からの日常のことで(弟も同じ)
一日12回なんてのは当たり前だったので気にも求めていなかったのです。
(コロナが否定できたことに安心してしまって本質に迫れなかった?)
流石に夜間頻尿は不眠にも繋がっていたので
生まれて初めての泌尿器科受診に至ったわけです。

さて、そんな私の恥ずかしい話は置いておいて、

さて、今日は 61歳男性の皮下に生じた腫瘤の症例を紹介いたします。
左背部の皮下の腫瘤を触知し近医受診。数年前から自覚はしていたようです。
初診時4cm 大の弾性軟の皮下腫瘤で、可動性は一部不良。

何を考えますか?

今日は以上です。

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昨日の回答 簡単すぎていたからこそ 確認。

病院の地元コーヒー専門店から
イチロウです。

先週の土曜日 私のメルセデスを点検に入れました。
毎日かなり距離を乗るのでそろそろ値打ちがなくなるのではないかと
不安になって聞いたところ

ちなみにそろそろ5万キロに達しそうです。5000kmの中古で購入したので
4.5万キロも走行したことになります。
車検は1回通して、あと今回1年点検となります(距離が多いので1年持ちませんが)。
今回の点検ではブレーキパッドを含めて多くの部分を交換したので
15万円ほどになるそうですが、事前点検費用を16万円前払いしていたために
一銭もかかりませんでした。

あと、2回点検を無料でできるので車の価値は減りますが
もったいないので、乗ろうと思います。メカニックにはそう勧められました。
あ、そんな話はどうでもいいですよね。

昨日の症例は すぐにお分かりになったと思いますが、、、

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胃から連続する病変としてすぐにGISTをあげられたと思います。

しかし、日常GISTが石灰化することってあったでしょうか?
実際にはほとんど見ないというのが実際ではないでしょうか?
したがって、鑑別としては粘液性の肉腫系腫瘍を
挙げざるをえなくなってしまいます。一択 とはならないのです。

実際にGISTが石灰化するのか?ですが、
日本語の論文で  Progress of Digestive Endoscopy Vol.80, No.2 2012年, p84-85
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pde/80/2/80_84/_pdf

論文内にて ”GISTにおける石灰化の報告 は少なく,胃GISTにおいてPub Medおよび医学中央雑誌で我々が検索し得たのは過去に6例のみであった” とあります。

また、”本症例を含めた7例は平均69.3歳,男女 比4:3,
発生部位は穹窿部および体上部に多かった。 石灰化の形態としては,
塊状4例,結節状2例,巣状 1例,
腫瘍径は28mmから110 mmまで様々で,
NIHの リスク分類では,低リスク4例,中間リスク1例,高 リスク2例となった。
本症例を除く6例では胃部分切除術が施行されており,
1例が肝転移再発したほかは, 再発なく経過していた。
石灰化を伴う胃癌は,印環細胞癌や粘液癌が多く,予後不良であることが知られて いるが,
GISTにおける石灰化の臨床的意義は不明で あった。” とあります。

Impact factor は0.15と低いですが、タイの論文では

Pinaikul S, et al. 1189 Gastrointestinal stromal tumor (GIST): computed tomographic features and correlation of CT findings with histologic grade.
J Med Assoc Thai. 2014;97:1189-98.
では石灰化の頻度は50人中 7人の14%と述べられています。

Cai PQ, et al. CT Characterization of Duodenal Gastrointestinal Stromal Tumors. AJR Am J Roentgenol. 2015 May;204(5):988-93. doi: 10.2214/AJR.14.12870. PMID: 25905932.
では胃原発ではなく十二指腸原発ですが、3/34(8.8%)例と記載されています。

また、症例報告ですが

Salati M, et al. Heavily calcified gastrointestinal stromal tumors: Pathophysiology and implications of a rare clinicopathologic entity. World J Gastrointest Oncol. 2017:135-141.
では胃の9.5cmの広範囲で顕著な石灰化を伴う胃GISTを提示しています。

Fig.1より引用

2例の報告ですが
Kim HS, et al. Gastrointestinal stromal tumors of the stomach with extensive calcification: report of two cases. Intern Med. 2012;51:2555-2558.
2例の胃(8cmと6.5cm も症例)
これほど顕著な石灰化であっても、GISTの可能性は否定できない
という例でもあります。

Fig. 1Aより引用

Fig.1Cより引用

他、日本人の顕著な石灰化の症例報告を提示します。
Yoshida H, Mamada Y, Taniai N et al:Spurt bleeding from a calcificated gastrointestinal stromal tumor in the stomach. J Nippon Sch, 72:304-307, 2005

Fig.1より引用

竹林正孝,徳安成郎,豊田暢彦,他:吐血で発症した高度石 灰化を伴う胃GISTの1例.日臨外会誌, 70:2336-2340, 2009

Fig. 2より引用

まとめ
石灰化したGISTの頻度は決して高くないものの(8.8〜14%程度)、
GISTは様々な程度の石灰化をきたすことがあり、
時に顕著な石灰化を呈することもあるのは知っておくべき事実である。

今日は以上です。
メルマガご購読ありがとうございました。

また、今更聴けないEOB-MRIもよかったらどうぞ。

何を今更 EOBなんて勉強するんですか?

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憩いのコーヒー。症例の提示

おはようございます。

イチロウです。数年前に院内にコーヒー専門店が
できました。
値段も、氷がめちゃめちゃ多いドトールと違って
コーヒーの量が多いのに 250円 とかなりリーゾナブル
設定でした。

しかし、

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最近突然物価高の煽りを受けて、一気に50円も値段を上げてきました。
でも、ドトールよりうまいので300円となっても
(ドトールはコーヒー量がより少なくて350円します(Large sizeが同等))
買ってしまう自分がいます。ある意味仕事頑張っている自分へのご褒美です。

さて先生には小さい日常の贅沢ってありますか?

前置きはこれくらいにして
イチロウもあと5年ほどで常勤医師を引退したいなあと思っています。
引退に向けて、パソコンを整理し、今まで
学んで教訓を得てきた症例をパソコン上で部位別に整理しました。

こんなにたくさん学んできたんだと思うとともに
やはり多くの先生と共有した方がいいかなあとも考えています。
今日はありふれた症例ではありますが

聞いたことがあっても、自分で症例を体験するか否かとは別なので
提示しようと思います。

80才台の男性で心窩部不快感で近医を受診され
同院で胃の腫瘤を疑われて紹介となりました。

既往歴には特記事項はない方です。

何かかわったところはありますか? 鑑別診断を一択にできないわけ?

診断は?

簡単すぎますね。

 

さて、ご好評のイーパイ講座 6/28-7/2まで申し込みできます。

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