駅前のドトールより
イチロウです。
前回リフォームの話をしまいたが、リフォームをする場合
どの様な点に着目、あるいはどの点を重視するかといったことに
当然ながら興味が湧いています。
1週間前たまたま、抗加齢学会のオンデマンドの講演を聞きました。
するととても興味深い話が聞けました。
その先生は近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科 藤田先生
と言う方なのですが、、、住まいの温熱環境と健康 と言うテーマでご講演をされました。
リフォームに興味を持っていた私にとっては いつもは半分流しているだけなのに
めちゃめちゃ集中して聞いてしまいました。
循環器系、呼吸器系の病気は冬の死亡率が夏に比べて高くなると言われているのですが、
北海道は冬に死亡率が上がらず、逆に(暖かそうな)スペインでは冬に死亡率が高くなる
と言うのです。やはり寒そうなカナダも冬に死亡率は上がりません。これは一体なぜなのか?
と言うことに藤田先生は着目しました。
***************************************************************
メルマガ読者の先生はこちらから
最近ヒートショックと言う言葉が巷に溢れてきているので家の中の寒暖差はよくない
と言うのはお聞きしたことがあるでしょう。
やはり家の中の寒暖差が非常に血圧変動に影響することがわかっています。
そして、北海道をはじめとする寒い地域は断熱環境がよく整備されているため
冬に室内での寒暖差を生じにくく、血圧変動が低くなり、
冬に循環器系、呼吸器系の死亡が増えないのです。
逆に九州などさほど寒くない地域は住宅の断熱環境が悪く
冬の室内の平均気温は北海道などの雪国のそれより低いのです。
例えば、北海道の在宅中平均居間の室温は20度に対し、
逆に断熱住宅環境が整備されていない
香川県はなんと13.1度、鹿児島も16.3度となっています。
なので住宅の断熱改修工事によって、血圧の変動を押さえることが
冬の死亡率上昇を抑えるために重要となってきます。
断熱改修には最も熱が逃げやすいと言われる窓を
断熱するのが手っ取り早くて
壁一面に断熱材をプラスするよりも、コストが抑えられるそうです。
家族4人暮らしの家の断熱性能を高めるために窓に内窓(うちまど)工事を
すると約100万円くらいのコストがかかるそうですが、
このコストは30年間 内窓付き住宅 に住み続ければ
病気になるリスクが抑えられ(藤田先生の研究では医療費も抑えられ)
結局のところ内窓改修初期投資はペイしてしまうそうです。
さて、一昨日の症例、60歳代の胸痛主訴の男性ですが、回答はおそらく先生は
正当されていると思わます。悪性胸膜中皮腫です。しかし、プラークと一体見分けがつくのかです。
なぜ、この様な症例を提示したのかと言うと
やはり初期での診断の難しさでしょう。
胸膜のプラークの存在からアスベストに暴露していることは認識できるのですが
実際今回の初回のCTではプラーク以外の中皮腫を積極的に疑う所見があまりはっきりしません。
どうしても、プラークと中皮腫の完全な見分けがつきにくいと言うのがあります。
ただ、プラークはどちらかと言うと不整ではない限局性の胸膜肥厚が連続せずに
多発すると言うのが一般的で、肥厚部は丸くなっていることが多いです。
しかし、必ずしもその様な典型像を示さないこともあり
Eric J. Stern らの High-resolution of CT of the chest (邦題;胸部HRCTアトラス)
のP266 図10−17 の薄い、石灰化を伴わない胸膜プラーク例では難しいです。縦隔側ではないと言う点くらいでしょうか。
実際、本症例初診より2ヶ月後のCTを提示するとより不整で肥厚した胸膜が出現しており、
造影剤により濃染していることがわかりました。縦隔側にも不整な胸膜肥厚が見られています。
その後胸膜生検の術中所見では胸部外科医は視覚的に中皮腫と判断するも
病理は 繊維性胸膜炎との判定。ここまで、夜間の胸痛は患者様を苦しめました。
生検から1ヶ月後に肺剥皮術(胸膜全摘)を施行も、非根治術(この時の最終病理で悪性中皮腫との病理確定診断)におわり、化学療法を施行したものの、約1年後に永眠されました。
今回の症例の様に手術をしても、化学療法をしても全く効果がない症例もあり
進行の早い悪性中皮腫もありますが、
初期の段階で有名な所見としては縦隔側の胸膜肥厚、造影後の濃染効果など
数少ない決め手の所見を見逃さないことが重要です。
1側性の胸水貯留や胸痛などの症状、前述の縦隔側胸膜肥厚、肥厚部の濃染など
しか手掛かりはありません。プラークはちなみに基本的に無症状ですし、濃染もしません。
以上です。
今日もメルマガご購読ありがとうございました。
以下、本日20時募集締め切りします。