給油口問題解決。50歳代女性を救う為には?

駅前のドトールより
イチロウです。

今日は世界遺産はアイキャッチでは小さくてショボく見えるので大きいものをいかに添付どこでしょう?

トラカイ城をドローンで空撮したところだそうです。写真はistock photo で購入したもの。

給油口問題を解決してくれたのはなんと
ディーラーではなく、買取業者でした。

今回自分の車はこの給油口問題があると
どんな状態になってしまうのだろうと危惧してはいるものの
6万キロ以上も走っていたので、下取り価格は結構下がってしまうのでは
という恐ろしさもあったので、

解決しない状態で今めちゃめちゃコマーシャルをうっている
MOTAに登録してみました。するとなんと翌日(日曜日)の夕方にならないと
査定額が出ないとのこと。

待ち切れないので、ナビくるに登録したところ
(予想通り)とんでもない件数の電話がかかってくることになりました。
数件は、絶対に査定額の概算すら言わず、なんとしてでも実車査定をさせようと
迫りくるのですが、一社だけ、概算査定額を提示してきて、
さらに、上記給油口問題は簡単に解決できると 言い放ったのです。

そんなばかな、M車はウクライナから来るのを指を加えて待つしかない
と言っていたのに、、、

どうやら、彼ら買取業者は自社で中古車として整備して販売するので、M車純正のアクチュエーターに
こだわる必要がなかったのです。もう一つ自宅から数kmのところに
実店舗を構えていて、そこの営業マンが電話をかけてきたということです。

そして最大重要だった事は、JPUC にその業者が加入していたことでした。
JPUC は日本自動車購入協会の略称で、要は 中古車販売、買取業者から
悪徳業者を排除して、業界の健全化を目指す団体とのことです。
ちょうどレクサスを売ったのに入金されずに困っていた友人が
その知り合いの弁護士に相談したところ、その業者がJPUCに入っていれば問題解決は
早いのになあ。と言われていたのを 以前聞いていたからです。

もし、先生がお車をどこぞの業者に買い取ってもらう場合、JPUCに加入しているのか
ということも信用情報の一つに入れてみてはいかがでしょうか?
いくら大きい会社と言っても、Big なんちゃらのような元悪徳業車もいたことですし。
会社の規模のみではもはや信用ができない時代です。

ちなみにBigなんちゃらは今はWECARDS に社名が変わっていて
伊藤忠商事、伊藤忠エネクス及びJWP 3社出資で
社長は 元伊藤忠商事の執行役員である 田中慎二郎氏が就任されています。

話が長くなりましたが、車に興味のない先生には申し訳ありません。
一昨日の50才台女性の左下腹部痛、嘔吐の症例ですが

普通に放射線科医が冷静に画像を主体にしてみれば何も診断は誤ることのない症例です。
左後腹膜に淡い不均一な高吸収域がみられており、今回はキーフィルムのみですのですぐに見つかりますが
多数のスライスであっても後腹膜出血と認識できれば、その目でちゃんとスライスをめくりさえすれば、動脈出血を見つけることができるはずです。


左腰動脈からダイナミック造影早期相で造影剤の血管外漏出像が確認できます。
つまり後腹膜にいきなり出血した症例です。

どうして? と思ってしまうかもしれませんが、特段外傷などの病歴がなくても
このような状態を呈する疾患といえば
そうです。この方は、フォンレクリングハウゼン氏病の診断が既にされていた方でした。

一般社団法人日本医療安全調査機構の2014年2月のPDFに
フォンレックリングハウゼン病における血管破綻のリスク と題して症例報告が提示されています。
https://www.pmda.go.jp/files/000143739.pdf

【事例の概要】
フォンレックリングハウゼン病患者の腎動脈瘤破裂に対して腎摘出術を施行。腎臓の摘出に続き、 腎および尿管摘出部の血腫除去を始めた直後に、切開創の最下部(腎摘出部から離れた下方)より突然の大量出血あり。下大 静脈等からの出血を疑い用手圧迫等により止血を試みたが、出血部位の同定が困難で止血不能な状態となり、血圧が低下し失血死に至った。解剖結果より、出血は下大静脈の破綻によるものであったことが明らかになった。

と報告され、 フォンレックリングハウゼン病患者の手術や侵襲的処置等を実施する 際は、「血管の脆弱性」を認識した対応をするように。と警鐘が鳴らされています。この血管脆弱性を肉眼的に判定することは困難であり、動脈、静脈を問わず止血不能な状況に至 る可能性がある と書かれています。

なかなか、Pubmedを検索しても
von recklinghausen’s disease, retoroperitoneal hemorrhage
のキーワードではマッチする件数が少なく、マッチしても古い文献が多いようです。

von Recklinghausen病 に合併 した動脈 自然破裂 による 後腹膜出血の1例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam1990/14/2/14_2_62/_pdf

も1990年の日本語論文であり、

巨大後腹膜血腫を呈したvon Recklinghausen 病の1例
日泌 尿 会 誌,89巻, 10号, 1998年: 846~849
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol1989/89/10/89_10_846/_pdf/-char/ja

でも1998年です。von Recklinghausen病 に合併 した動脈 自然破裂 による 後腹膜出血の1例 にはタメになる話が書かれており、
本疾患特有の動脈自然破裂の機序として
(1)中膜 に神経線維腫が直接増殖し血管が脆弱化する,
2)神経線維腫が動脈の栄養血管を圧迫し虚血により血管壁が部分的に脆弱化する
(3)内膜での紡錘細胞の増殖により中膜が菲薄化し弾性板が脆弱化する説など が提唱されている。
当院の症例のように神経繊維腫や動脈瘤などがない場合、3)のような動脈破綻原因は、弾性板の脆弱化が原因と考えられ、手術を安易に行って止血困難となる場合もあると書かれており、一般社団法人日本医療安全調査機構の提示例はまさにその1例です。手術が施行され,止血操作を試みたにもかかわらず血管壁が脆弱なために出血を制御できず救命できなかったものが3例 あったと1990年の日本語論文の考察でも書かれていました。

ではいったいどうすればいいのでしょう。
まずは、急性腹症、あるいは当院でさらに以前に経験した特発性血胸症例などの
外傷が特段ないにもかかわらず、血腫があって、von Recklinghausen病の既往歴がある場合
血管脆弱性に伴った特発性出血の可能性を疑って、緊急血管造影による止血を
行うことかもしれません。安易に開腹をして、脆弱血管を止血しにいくと、止血が困難となりうるからです。(血胸の場合は、ガーゼパッキングなどもあり)

その為にはできるだけ早くCTダイナミックでの診断が必要と考えられます。
とはいえ、24時間365日一般病院の放射線科医が待機するのは困難ですので
緊急でそのような体制の整った大学病院に診断がついた時点で送ることしかないかもしれません。

今回の症例は約10時間後にIVRが施行された為、止血には成功しましたが、
残念な結果となってしまいました。

以上イチロウでした。
本日もメルマガご購読ありがとうございました。

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給油口問題解決。50歳代女性を救う為には? への2件のコメント

  1. ジョイス より:

    フォンレックリングハウゼン病に血管破綻のリスクがあることは全く知りませんでした。大変勉強になります。特発性の出血があったら、皮膚の神経線維腫チェックが必要ですね。

  2. ichirou より:

    少しでも役に立てたのなら嬉しいです。コメント有り難うございました。
    実際は放射線科医というよりは 救急を担当する医師が知っておくべきなのだと思いますが、、、若い医師が担当することが多いので難しいのかもしれません。

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