駅前のドトールより
イチロウです。
以前お話ししたベットの続きですが、
結局私は、西川の整圧マットレス かため
にしたところ、寝起きの腰痛が軽減し(直ったわけではないです)、
購入したという話を聞いた非常勤医の彼も早速
シモンズのベットマットに変え(ちなみに木枠はニトリ)たところ
今まで、腰が痛くてゴロゴロとひく
おばさんがよく買い物で持っていくカートみたいなものを
持っていたのが、、、
今では大好きな楽器(わりと重い)と鞄を肩に下げて私の病院に
電車で通えるようになりました。
本当にマットレス一つで人生が変わった感じです。
車にお金は使っても、いいマットレスにお金を使おうという
発想が今まで湧かなかったことは 少し後悔が残りましたが
車なら一日通勤に使っても数時間ですが
マットレスは毎日6−7時間も使用するのですから
こっちに多くのお金を使うべきでした。
そうは言っても、重要でありながら車の1/20 の値段です。
人間の価値観もおかしなものです。
さて、前回の症例の回答ですが、
画像の主体が、胸水貯留と心嚢水貯留で
リンパ節が腫大しているという症例
そして既往歴に癌がある と言ってもだいぶ前の癌です。
そう考えるとなかなか難しい症例かもしれません。
症例は70歳代の女性 で大腸癌の既往歴の方が
呼吸困難を生じていたので救急でCTを施行すると
以下のようだったのです。
つまり、左鎖骨上窩に癒合傾向のあるリンパ節腫大
それは縦隔、傍大動脈にも認められ、同じもののように見え、
両側大量の胸水貯留とそれに伴う無気肺、そして
大量の心嚢水貯留です。やや心膜は肥厚しています。
すぐに心嚢穿刺が施行され、胸水も1リットル程度吸引されました。
これらには感染の所見、血性所見は無かったようです。でも、
ペット(猫による咬傷やひっかき傷が絶えなかった)を飼っていたとのことで
臨床医はバルトネラ感染症、猫ひっかき病などを考えていたようですが、
胸水からMalignant lymphoma が出ました。
その後のシンチグラフィが以下
LDHも実は 813 と上昇しており
ILー2レセプター も 3730 と著増
感染症関連はいずれも陰性
確定診断は左頸部リンパ節切除生検で
Malignant lymphoma, Non-Hodgkin, diffuse large B-cell lymphoma
と確定診断されました。
今回のように胸水貯留や心嚢水貯留が前景に出ていて
呼吸困難を呈していると すぐには悪性リンパ腫を想定しずらくなり
ましてや大腸癌は古い既往歴とはいえ、存在していたり
今回のようにペット飼育に惑わされるということもあり得ます。
Aquino SL らによると(Aquino SL, et al. The CT appearance of pleural and extrapleural disease in lymphoma. Clin Radiol. 1999 Oct;54(10):647-50. 10541388.)
原発性または再発性リンパ腫と診断され、感染症を含む
他の全身疾患の病歴のない61人の患者における胸水を呈するCT検査を検討した文献によると
14人(23%)(9人が非ホジキン、5人がホジキン)が壁側胸膜疾患(胸膜肥厚or結節)
を持っていた。
18人の患者(30%)(うちわけは14人が非ホジキン、4人がホジキン)は胸膜外腔に
腫瘍orリンパ節腫大を有していた。
43人の患者(70%)は縦隔リンパ節腫大を持っていた。
と言います。当症例には、心膜は肥厚していたものの、胸膜に腫瘤はありませんでした。
Das, DKらの論文からは (Das DK. Serous effusions in malignant lymphomas: a review. Diagn Cytopathol. 2006 May;34(5):335-47. )
胸水合併頻度は通常20-30%と言われており、決して稀ではない一方、
腹腔や心膜腔の病変合併は稀と言われています。
ホジキン病ではリンパ節腫大などによる胸管の閉塞に起因するリンパ灌流不全が、
非ホジキン病では胸膜への病変の直接浸潤が主な機序と言われています。
原発性またはその他のリンパ腫による胸水は、全生存期間に
悪影響を与える要因の 1 つと考えられています。
発症時に胸水が存在することは、リンパ腫の極めて不良な転帰と関連しているだけでなく、
化学療法後の疾患の再発や生存率の低下の予測因子でもあります。
縦隔腫瘤を伴う、または伴わないリンパ腫性胸水の患者が呼吸窮迫を示している場合、
これらの患者における最初の診断および治療の選択肢は胸腔穿刺のようです。
今回の症例も胸水穿刺によってリンパ腫が最初に疑われました。
また、今回大量の心嚢水貯留を認めましたが、Chang YC らの論文より
心臓および心膜リンパ腫の関与は非常にまれで、心臓関与の 0.5%、
節外 NHL の 1% を占めます。 60代の男性患者に多く見られると言われます。
Porcel JM らによると(Porcel JM, et al. Pleural Effusions in Diffuse Large B-Cell Lymphoma: Clinical and Prognostic Significance. Lung. 2019 Feb;197(1):47-51. )
非ホジキンのびまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)185人中55人(33%)に
胸水貯留が見られ、そのうち27人(49%)が検査され、その70%で診断が得られた
と言います。また、CTで200mLを超える胸水貯留は生存率低下の独立した予測因子
である と言っています。
今日は、胸水、心嚢水貯留が前景に出た悪性リンパ腫(非ホジキンの
diffuse large B cell lymphoma: DLBCL)の70才台女性の症例を提示しました。
非ホジキン病に合併する胸水貯留は20-30%には見られ、決して稀ではなく
穿刺により70%は診断できるので、積極的に胸水細胞診を行うことが推奨されます。
胸水貯留の原因は非ホジキンリンパ腫の場合は腫瘍浸潤によることが多いからだと言われます。
一方、心嚢水貯留は稀です。
以上イチロウでした。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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