駅前のドトールより
イチロウです。
最近(ここ1−2年のコロナあけで)病院経営があまり良くなく、
ついに年末のボーナスは昨年より20%近くも削られました。
昨年のボーナスが結構良かった(過去最高)ので結構びっくりでした。
院長もこの危機にいろいろ対策を考え始め、直近では入院患者が少しずつ増えてきました。
病院収入はやはり入院収入が大きく影響するためなんとしても
入院患者数を増やすことがどうしても求められます。
一方で、下々のDr.たちは一般論?では
入院させるかさせないかという選択ではなんとしても入院させずに
帰ってくれないかと、帰るための証拠集めをするのが人情かもしれません。
絶対に入院が必要な症例はともかく、微妙な症例も存在しているからです。
当院でやっているかは別として、病院によっては入院させれば
させた医師(いし)の意思(いし)決定に対してインセンティブをつけるというところもあって
成功している場合もあるようです。
やはり微妙な症例の選択で、人情的には帰宅して欲しいが、
インセンティブがつくとなると
返さずに入院させるか、となるのでしょうか? 私にはわかりません。
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臨床医の経験は研修医の頃しかないし、当時は上級医すらいなかった時代なので
自分が入院させると外来と入院手続きと両方を一人でやらなけらばならず
結構大変だった記憶があります。
多分当時の上級医もいないシステムなら
インセンティブがつこうがつくまいが自分が大変になって、
外来の救急患者の対応がどんどん遅くなるので
インセンティブがあっても入院患者は増えなかったと思います。
私の研修医時代の病院は本当に当直で寝れたという日が
ほとんどありませんでしたから。おまけに翌日も通常勤務でした。
さて、なんか話があっちこっちに行ってしまったので昨日の回答ですが
数ヶ月前のCT (以下提示)では認められなかった
右縦隔から中心壊死を示唆する不定形造影不良域を有する濃染する腫瘍が見られ、
右房から左房、下大静脈から肝へと進展する腫瘍と考えられ、
急速に増大するMalignancy ということで
肉腫系の腫瘍を疑わせますが
結局は病理回答は、悪性リンパ腫でした。
実際は亡くなられて、CPCとなり
Diffuse large B cell lymphoma で壊死を伴っていると書かれています。
腫瘍は右心房から右室壁に存在する白色充実性腫瘍で、
SVCおよびIVC入口部付近からIVCを置換するように
横隔膜、肝実質、左肝静脈へ腫瘍浸潤ありと病理に書かれていました。
さて、壊死を伴うnon Hodgkin lymphoma (NHL)の臨床的意義について研究された 2001年のJCATの報告があるので記載します。
Saito A, Takashima S, Takayama F, et al. Spontaneous extensive necrosis in non-Hodgkin lymphoma: prevalence and clinical significance. J Comput Assist Tomogr. 2001;25(3):482-6.
これによれば治療する前の60例のNHLについてCT, MRIを壊死の有無でレビュー。
60例中15例25%で認められ、そのうち10例で病理学的検討がされました。
壊死を伴う患者は、壊死を伴わない患者と比較して
有意にステージが高く、高いIPI(予後因子指標の一つ)、および高い血清LDHレベルを示していたということです。また、Kaplan-Meyer 法ではLDHやIPIに統計学的有意差なしも、広範囲の壊死には有意差が見られました。
つまりは治療前に広範囲の壊死が見られる症例は25%程度のNHL で、必ずしも稀ではなく、予後不良因子となる。ということです。
なかなか、ここまで急速に増大する悪性リンパ腫は経験値が少なかったことや
急速増大がゆえに中心壊死まできたしていたということでより一層
Malignant lymphoma と言いにくかったのかもしれません。
ただ、その時読影した非常勤医は鑑別診断に悪性リンパ腫を入れていました。
もちろんカルテにはそれらしい記載はなかったのにもかかわらずです。
改めて彼の眼力を敬拝しました。
以上です。本日もメルマガご購読ありがとうございました。
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今年も一年お世話になりました。
ボーナス減額はがっかりしますね。
今回の心臓腫瘍の症例は血管肉腫を疑いましたが、リンパ腫でしたか! 難しい。
先日肝臓の巨大腫瘍と脾臓の多発転移、リンパ節転移症例で生検後にB細胞リンパ腫と診断された症例がありました。腫瘍内血管貫通所見を認めましたが、中心部壊死が目立つのでリンパ腫は除外していました。中心部壊死を伴うリンパ腫は悪性度が高いこと勉強になりました。ありがとうございます。