大谷さん。元気ありがとう。昨日の症例回答

院内のコーヒー専門店で購入して
読影室で飲んでいるイチロウです。

最近、野球観戦がつまらなくなり
いつの間にか大谷選手を応援しています。
妻は大谷くんがMVPを取ったあたり以降づっと注目している様です。
全く野球なんて興味ないのですが、、、

そういえば、昨日は29号を打ったにもかかわらず
チームは負けてしまいました。
チームは応援していないので、あまり気にならず
大谷くんだけを応援している自分もいます。

日本人の活力の一つとなっているのかもしれません。
(あ、野球になんの興味のない先生にはすいません。)

さて、昨日の症例ですが、、、

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喘息があるため、CT, MRI(乳がん症例なので造影できないということで
当時は乳腺DWIBSもスタンダードではなく、MRIは未施行で、CTは全て非造影検査)
は造影がなされていませんでした。それは残念ですが

左腋窩にLNメタ出現ということで、一緒に腹腔鏡下に脾臓を摘除しました。
ゆっくりとした成長だったのですが、明らかに増大している点で外科医は気になったのでしょう。

回答は 脾臓過誤腫です。
病理では被膜のない境界明瞭な腫瘤で、割面では内部に繊維化病変が認められ、
組織学的には白脾髄様構造は見られず、、赤脾髄様構造が主体をなすが、
脾洞は細く、、脾索優位な所見が認められるとあります。
また、肉眼所見同様に内部に繊維化が見られる。とも記載されています。

脾臓過誤腫の所見で、悪性所見なし
とのことでした。

脾臓過誤腫については 日本語教科書の 腹部のCT第三版 脾臓p294より
単純CT上脾実質と比較してわずかに低吸収域〜等吸収域を示し、腫瘤を指摘困難なこともあり
ダイナミック造影早期に不均一に造影され、平衡相では遅延性増強効果を呈し
平衡相で等吸収域を示すときは指摘困難であると述べられています。
赤脾髄の中の脾洞と繊維成分のなかに造影剤が停滞するためにそうなるのだと言っています。

肝胆膵の画像診断改定2版 p624-5 では
画像所見は多彩だが、主に脾洞組織と繊維成分の多寡に依存し、
脾洞組織が多いとVascularityが高くなると言われ、赤脾髄型や混合型では
脾実質に類似した所見を認めることは特徴と言われています。

血管腫との鑑別という点では血管腫ほどの高信号にならないということくらいでしょうか。造影遅延相は類似するでしょう。

Ramani M, et al. Splenic hemangiomas and hamartomas: MR imaging characteristics of 28 lesions. Radiology. 1997 ;202:166-72
では23個の脾臓血管腫と5個の過誤腫とを検討しています。
脾臓の血管腫は19個の血管腫が進行性の求心性造影パターンを示し、
遅延相で均一濃染を示し、肝臓のそれに類似していたと述べられています。
5つの過誤腫のうち4つのみT2WI が撮像され、3つは脾臓と比較して高信号、1つは低信号(様々な信号)
過誤腫のダイナミックでは早期にびまん性に不均一濃染を示し、遅延相で均一濃染しています。と述べられています。

また、Wang JH et al. Multi-modality imaging findings of splenic hamartoma: a report of nine cases and review of the literature. Abdom Imaging. 2013 ;38:154-62.
では9人の9つの過誤腫について述べられています。
非造影CTでは等吸収域3個、わずかに低吸収域 4個、3個の病変は石灰化あり。
MRIではT1強調像で等信号3個、低信号2個、T2強調像では不均一な低信号2個、わずかに高信号2個、高信号1個を示していました。結局様々
ダイナミック造影では動脈相でびまん性の軽度の不均一濃染が6個、顕著な濃染1個、造影なしが1個
やはり、信号強度の違いは上記病理像での脾洞組織と繊維成分の多寡に依存しているのかもしれません。

最後に Metser U, et al. Solid splenic masses: evaluation with 18F-FDG PET/CT. J Nucl Med. 2005 ;46:52-9.
で脾臓病変の良悪性の鑑別診断のPETの能力について述べています。これによると
脾臓の良悪性充実性病変鑑別における 18 F-FDG PET/CT の
感度、特異度、陽性的中率 (PPV)、および陰性的中率 (NPV) は 悪性病変がある場合
100%、100%、100%、100% で
背景に悪性病変がない場合は、それぞれ 100%、83%、80%、100%。 でした。
既知の悪性疾患を有する患者では、SUV 閾値 2.3 は、感度、特異度、PPV、NPV がそれぞれ 100%、100%、100%、100% で良性病変と悪性病変を正しく区別しました。 既知の悪性疾患のない患者では、偽陽性結果はブルセラによる肉芽腫性疾患によるものでした。

つまり、FDG-PETでの脾臓充実性腫瘍の良悪性鑑別は非常に診断能が高く
今回の症例もほとんど集積しておらず、良性と判断できます。

今回の症例も、造影が全然できない中、PET-CTは役に立ちましたが
手術が選択されて、結果的に結果を知ることができました。

以上です。

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明日締め切りです。

また、EOBも7/8でいったん販売終了です。

何を今更 EOBなんて勉強するんですか?

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大谷さん。元気ありがとう。昨日の症例回答 への2件のコメント

  1. 秦 康博 より:

    本日も大変勉強になりました。ありがとうございます。

  2. ichirou より:

    秦先生いつもコメント感謝しています。

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