駅前のドトールより
イチロウです。
本日は変則的に土曜日に
メルマガを書いています。
コーヒーはアイスでLを注文しました。
しかし、家に持って帰ってきたので
値段は一緒です。
さて、そんな話はどうでもいいので
珍しいことにその日(先週のある日)もう
読影するものがなくなってしまったので
地方カンファランスに(行きたがっていたので)
若者に参加してもらいました。
翌日 彼はちゃんとメモしてきたことを
私に伝えてくれました。
その中で
綜合警備保障のALSOK ではなく
ARSACS という聞きなれない疾患を
拝聴してきたというので
シェアしたいと思います。
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彼が言うには 某 T大の
K 先生はそれを一発で当てたと
悔しがっていました。
同じ学年だそうです。
でも、T大学ですから・・・
では ARSACS とは一体なんなのか?
Autosomal recessive spastic ataxia
of Charlevoix-Saguenay (ARSACS)の略だそうです。
えっ? 知らない? そうですよね。
私も全くわかりません。
簡単に説明すると
常染色体劣性遺伝性の脊髄小脳変性症
(autosomal recessive spinocerebellar ataxia; ARCAs)
の1型 です。
その前に 脊髄小脳変性症 ほぼ日常診療で見かけません。
その脊髄小脳変性症 赤本(よくわかる脳MRI)第3版 p633から
脊髄小脳変性症 Spinocerebellar degeneration SCD と略す
小脳または脊髄性の運動失調を主症状とし、小脳及び脳幹、脊髄の
神経核や伝導路に変性をきたす疾患の総称で
非遺伝性と遺伝性に分けられる。
非遺伝性は 多系統萎縮(MSA: あの橋の十字の高信号です)
や皮質小脳萎縮症 が含まれ
遺伝性は 常染色体優性 と 常染色体劣性 に分けられます。
常染色体優性 と 劣性では 優性の方が ほとんどで
それには SCA spinocerebellar ataxia と 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などが含まれるのですが
ほとんどが SCA となります。
それに対して遺伝性の脊髄小脳変性症のうちの劣性は 稀です。
その稀の中の 一つが ARSACS です。
ARSAC とはAutosomal recessive spastic ataxia of Charlevoix-Saguenay (ARSACS)
の略です。ちなみに最後のCSに当たるのが下記のケベック州の
ある地方の名前の一部です
まるで 箱根入れ子細工の最後のこけしがでてきた感じです。
その入れ子のこけし である ARSACS は一体なんなのか?
カナダのケベック州のある地方(Charlevoix-Saguenay-Lac-Saint-Jean というところ)
には22人に1人と高頻度に在住しているらしい
しかし,現在では日本を含む世界各地から 数多くの報告がみられ,
世界的にみると,遺伝性常染色体劣性の脊髄小脳変性症としては
フ リードライヒ失調症に次ぐ頻度ともされているようです。
ケベックのある地方では濃い地域ということもあり
1歳から1歳半での発症が多いのですが
日本では 20−30歳台発症で、
痙性失調が存在するものの、網膜の異常は存在しないことが多い
と言われ
我々にとって覚える?(必要があるかは別として)画像所見は
小脳虫部上部の萎縮 と
橋に線状の低信号域が T2WIで見られることが
診断上重要と言われます。
一応引用画像を載っけときます。
Gerwig M, et al. Characteristic MRI and funduscopic findings help diagnose ARSACS outside Quebec. Neurology. 2010: 2133
https://n.neurology.org/content/neurology/75/23/2133.full.pdf
他の論文
Martin MH, et al. Autosomal recessive spastic ataxia of Charlevoix-Saguenay: a reprt of MR imaging in 5 patients. AJNR; 28: 2007:1606-1608
http://www.ajnr.org/content/ajnr/28/8/1606.full.pdf
おそらく カンファランスでは それが提示されたのでは
ないでしょうか?
なので それを覚えていた T大の K君は
回答できたと考えられます。
ようです。
Key words: ARSACS 脊髄小脳変性症のうちの
遺伝性 の うちの 常染色体優性ではなく
劣性の の うちの カナダのケベック州のある地方で多い
日本にも見られる 病気で、日本では20−30歳代発症で
痙性失調 を呈し、MRIのT2WI で橋に線状低信号を呈し、
小脳虫部上部 に萎縮が見られる
疾患 でした。 何かの問題が出た時
お役に立つかもしれませんが、日常は多分出会いません。
今日は本当に稀な疾患の話ですいません。
イチロウ でした。
本日も メルマガ購読ありがとうございました。
PS. 松本先生の救急画像診断:子育て支援企画 継続
10月12日土曜日 13:00-15 から よく13日 日曜日 21:00-15 の
どこかの時間でみてください。
http://medicaldirect.jp/archives/5649
もう一つ 同じ 10月12日 土曜日 14:00-30から 約3時間
のイチロウリアルセミナー PI-RADS 2.1 セミナー
を同時開催いたします。
消費税もちょっと上がりましが、今回は特にそれを
反映せずに行いますが、次回からはそうはいきません。