大腸癌の予防薬先生は飲みますか? 一昨日の回答

駅前のドトールより
イチロウです。

(アイキャッチ画像はカルカソンヌ フランス)

さて、今年は正月明けにすぐにお腹の調子が悪くなり
昨年劇的に効いていたイリボーを服用したのですが、
全く効果なく、1ヶ月も苦しみました。
何せ、食べるとお腹が痛くなるので、まともな食事ができなくなりました。

原因は不明です。
昨年9月に大腸内視鏡、12月に胃内視鏡を施工して
1cmの大腸ポリープを切除しただけで、特に異常はありませんでした。
にもかかわらず、調子が悪くなり、先週やっとこ同じ胃腸内科を受診して新たな薬を投与開始して
なんとか調子が戻ってきました。

さて、大腸と言えば、昔ある大腸の権威の先生が2年に一回大腸内視鏡を受けていれば
大腸癌で死ぬことはないと豪語されていたのですが、

よく考えてみると一般的には大腸癌で予後の良い癌の一つと思います。
なぜなら、読影していて、大腸関係の先生が依頼を出している胸腹部のCT検査は
たいてい再発病変がなく、外来で落ち着いていることが多く
他の合併症も少なく、読影が早いことが多いです。

反対に胆道系の癌患者さんのフォローアップCTは落ち着いていることもありますが
何らかの合併症やら、再発とやらで読影に結構時間がかかることが多いです。

なので、大腸の癌は一般的にタチの良い癌と考えられています。
そのタチの良い癌に掛からなくする予防薬があるというのが抗加齢学会の講演で
話題となっていました。

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果たして、結構予後の良いと思われる大腸癌、もちろん癌は癌なのでかかりたくはないですが
比較的等の良い癌の予防薬をいったい先生は飲もうとするでしょうか?

その予防薬とは

アスピリン(市販薬ではバファリンA錠、エキセドリンA錠など)です
アスピリンを長く、2年程度服用すると大腸癌発生率が下がるというものですが、、、
もちろん脳梗塞や心疾患などの治療後に服用するのはいいですが
血液サラサラになって、出血のリスクも伴うので
健康な状態の人が飲むのは流石に勇気が入ります。

もっと、タチの悪い癌になりにくくなるというのであれば、飲む可能性もありますが
比較的治癒しやすい癌の予防に果たして健常時に飲むかというと、、、
先生はいかが思われますか?

さて、一昨日の問題の回答ですが、、、

一言で言うと ”完全消滅してしまった肺癌” になります。

初診時当然ながらLKを読影で疑って、炎症の可能性もややあり
1ヶ月だけ様子を見る様に読影しました。しかし、縮小の兆しはなく
TBLB が行われ、高度な低分化癌(non-small)との病理の回答で
免疫染色もして、腺癌との診断が下りました。

しかし、胸部単純写真の経過の様に縮小していき、最終的に消失しました。
日呼外会誌 27 巻 7 号(2013 年 11 月)自然退縮した肺小細胞癌の 1 例 の報告の考察から

癌の自然退縮については Everson と Cole によって 1966 年に定義されたもので、”無治療もしくは悪性疾患に対して有効でないと考える治療によって腫瘍または転移巣が一部ないし完全に消失すること”としているそうです。

自然退縮のメカニズムとして腫瘍自体ならびに宿主について様々な要因が挙げられているようですが,ご想像の通り免疫学的 機序が最も重要な因子とされています。
感染や手術・検査 などの外科的侵襲が免疫機能を賦活化する機序の一つと挙げられています。その機序は不明です。今回の例ではTBLB のみしか行っておらず、これが賦活したのでしょうか?
とは言え、L Kの前には多くの例でTBLB を行いますが、小さくなることはほぼありません。
こじつけの様にも思われます(ここは個人的感想)。

当院カンファランスでは皆が当惑して、宗教にのめり込んでいたので、熱心な信者だったと言う
あり得ない説まで登場してしまった次第です。その後、この様な例には遭遇していません。
ただ、初診時のあとフォローアップして、いったん縮小しても、再増大する癌もあるので
1回縮小の兆しがあっても、もう一度見ることが絶対必要です。
当時カンファランス担当の胸部の権威の先生も当時そうコメントされていました。

古い文献(自然退縮がみられた肺多形癌の 1 例 。日呼吸誌 1(6),2012)では
65歳男性の非小細胞癌(極めて稀な多形癌)の縮小例を報告しており、考察の中で
PubMed を key word(“spontaneous regression” “lung cancer”)で検索すると
23 例の報告がみら、(検索日 2012 年 2 月 8 日).組織型を調べると小細胞癌 5 例,
扁平上皮癌 9 例,腺癌 4 例,大細胞癌 4 例,未分化癌 1 例 であった。と述べています。
この症例も、当院例同様TBLB のみで、それを契機として縮小した可能性を述べています。

他、Choi SM らのSpontaneous regression of squamous cell lung cancer. Am J Respir Crit Care Med. 2013 Aug 15;188(4) では結核(結核が免疫系を刺激)を合併したことが免疫賦活を生じて
癌の自然退縮したと述べています。

以上 完全消滅してしまった70歳代の肺癌例を報告しました。
免疫関与が推察されていますが、確定的な証拠はありません。
ただ、癌らしき所見を示していたものが1回のフォローCTでたとえ小さくなっても
再増大するすることがあるので、小さくなったとしても慎重フォローすることが重要です。
今回は腺癌例でしたが、LK でも小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌など
様々な癌種が報告されています。

良かったら。締め切りは金曜日です。2/8から動画閲覧開始

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自然消滅するあれとは???

駅前のドトールより
イチロウです。

(アイキャッチ画像はハンブルク・ワセルシュロス城シュパイチャーシュタット)

今年もよろしくお願いします。

昨年は身内が亡くなったため、今年は喪中となり、年賀状のやり取りはありません。
そうは言っても来てしまうのが年賀状です。

というのも、そもそも喪中ハガキというものは
自分の意思でこの人とは年賀状のやり取りをするだろうというのを決めて送るからです。
何年もやり取りをするのをやめようと思っても
何も記載のないプリントしただけの年賀状を送ってくる方がいらっしゃいます。

そんな年賀状のやり取りをするのなら出さないほうがマシなので
何年も出していないのにも関わらず年賀状を送ってきます。
喪中ハガキを出すということはやり取りしましょうと言っているようなものですから
そういう人には喪中がハガキは出しませんでした。

なのできてしまいます。なんとか自然消滅を狙っているのですが
向こうも何も考えずにチェックもせずに機械的に出しているので
始末に終えません。

さて、本日はその自然消滅している病変について考えられる診断名を当ててください。

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70才台の男性 不整脈で近医でフォロー中の胸部単純写真上左肺の異常陰影を指摘され、
当院の呼吸器内科を受診されました。

左肺に腫瘤が指摘されます。
単純写真の経過と初診時のCTを提示します。
先生のご診断はいかがでしょうか?

回答は明後日 です。

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あと何回ご紹介できるか分かりません(2−3回かもしれません)。煽るつもりはありませんが、会社を閉じたらおそらくですが、受講難しいかもです。聴講されてない先生は今のうちです。

EOBも終わり、佐志先生のも、松本先生のも終了予定です。世間では皆便乗値上げしている中、全く値上げ等はいたしていません。

 

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昨日の回答。本物も提示。

駅前のドトールより イチロウです。

毎週、遠隔読影室にきてくれている25年来の友人Dr.と話をしていた時のこと
彼は、多趣味で、サックス、エレキギター、空手、農園栽培など
様々なリクレーションを長年楽しんでいます。
多分空手は最近はやめてしまったと思っていたので
運動らしいことはしているのだろうか?
と思って聞いてみると

週2回はフィットネスに行っているとのこと
しかもパーソナルトレーナーについてもらっているらしいのです。
しかも元プロ野球パリーグのロッテの選手のトレーニングを
担当していた人だとのとのこと。
出会いのきっかけがパパ友で20年来の付き合いらしいです。

私もコロナ前までは7−8年はフィットネス通いを続けていて、
別個にパーソナルトレーナーにお願いしていたことがありましたが
コロナになってすっかりフィットネスには行かずにもっぱら
YouTubeを先生にしてフィットネスしてもらっています。
幸か不幸か、ネットからウイルス感染することもありません(笑)。

私のメニューは

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①ラジオ体操第1〜3、
②筋肉くんの世界で一番楽な筋トレ有酸素運動全身10分間
③筋肉くんの自宅で筋トレ9腫目10分間 腹筋&下半身
④筋肉くんの自宅で筋トレ7腫目4分半 腕を鍛える
に加えて、歩きの足りない日は
⑤竹脇さんの自宅で20分間歩行
⑥b Life の 腰痛改善に効くヨガ15分
⑦小川式、オガトレ 首、肩こりに効くストレッチ20分間
となりますが、時に体幹トレーニングを加えることもあります。

という感じでこれが2年程度続いていて、週3回だったのが、
遠隔読影室となってからは
上記①〜⑦のうち①〜③を週2回加えられるようになりました。

健康になっている、筋力ついているかどうかはわかりませんが、
コロナ真っ只中の頃のゼロだった時 よりはいいのかなあと思って継続しています。
先生は運動はされていますか?

さて、昨日の回答ですが、やはり 卵巣間膜のねじれを生じているため
卵巣由来と思われるすぐにわかる成熟奇形腫と子宮との間の謎の軟部組織構造(赤丸)
を捉えられるかが重要です。
18年前の私は主腫瘍のやや右より背側に脂肪滴らしき構造が散見されたため
破裂の診断を下していたようです。浅はかでした。

本物の奇形腫破裂は以下です。30才台女性例(古ーい症例です)
骨盤腔にやや緊満感を失った脂肪-液面形成を生じる、石灰化を伴う腫瘤(黄矢印)が見られ、
破裂の証拠として、腹水貯留とその内部特に右横隔膜下の腹水内に脂肪滴(赤矢印)が多数含まれ
腹膜肥厚と大網、腸間膜の著明な不均一性(青矢印)が認められ、
破裂に伴う腹膜炎を生じているのがわかります。

今日は以上です。今日もメルマガご購読ありがとうございました。

PS. お正月の長ーい休みに聞くのはいかがですか?
よかったらどうぞ。明日27日の20:00
で締め切ります。延長募集はありません。

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産婦人科症例って難しい。

駅前のドトールより
イチロウです。

最近、外勤先の症例が難しいのが増えてきました。
もう15年以上勤務しているのですが、
いつも、常勤医がデューティとして全件割り当ててくるのですが、
まあ、それはともかくとして、年々難しい症例、つまり
時間のかかりそうな症例を入れてくるような気がしています。

自分の能力が衰えているのもあるかもしれませんが、
以前は子宮筋腫や単なるメタ検索も多かったように思えるのですが
きっと自分の気のせいなのかもしれません。

ただ、私の病院にはない産婦人科系の症例を振っていただいているのは
(経験値が少ないだけに)気になるところです。

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メルマガ読者の先生はこちらから
以前は内膜症や筋腫のフォローといった当たり障りのない症例を入れ込んでくれて
他にEOBや膵癌、胆管癌治療後などの難しい(時間かかる)症例が入っていたとしても、
これらの時間のかからない症例でなんとか平均されて、一件10分程度で
読影できるような症例配分なのかなと思っていたのですが
婦人科の症例は筋腫が減って結構難しいのもくるようになりました。

当院では見ることが絶対にない周産期の症例が混じることもあります。
なので、前回2024年の秋季大会では 癒着胎盤 のコンテンツを聞きました。
やっぱり 改めて拝聴してみると癒着胎盤って診断難しいなと感じた次第です。

当院のはるか昔には実は産婦人科症例もいくつかあったのですが、
流石に癒着胎盤の症例は自分のリストの中にはありませんでした。
つまり、癒着胎盤については経験値ゼロ(大学時代はあったと思うのですが
全く記憶から消えています)ではないかと記憶しています。

なので、本日の提示は 癒着胎盤ではありません。が、、、産婦人科症例を提示してみます。

症例は60歳代女性です。腹痛、嘔吐で、イレウスを疑ってCTが撮像されました。

単純CT


造影CT

造影CT冠状断

造影CT矢状断

T1WI axial 

T1WI FS

T2WI axial


T2Sagittal                      T1WI sagittal

以上です。
今より18年近く前の症例ですので、画質がやはり悪いかもしれません。

回答はなんでしょうか?

では、今日もメルマガご購読ありがとうございました。

お正月休みに一気見で勉強しませんか? 募集締め切りは12月27日20:00です。
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ボーナス減額。 昨日回答 80歳代男性

駅前のドトールより

イチロウです。

最近(ここ1−2年のコロナあけで)病院経営があまり良くなく、
ついに年末のボーナスは昨年より20%近くも削られました。
昨年のボーナスが結構良かった(過去最高)ので結構びっくりでした。

院長もこの危機にいろいろ対策を考え始め、直近では入院患者が少しずつ増えてきました。
病院収入はやはり入院収入が大きく影響するためなんとしても
入院患者数を増やすことがどうしても求められます。

一方で、下々のDr.たちは一般論?では
入院させるかさせないかという選択ではなんとしても入院させずに
帰ってくれないかと、帰るための証拠集めをするのが人情かもしれません。

絶対に入院が必要な症例はともかく、微妙な症例も存在しているからです。
当院でやっているかは別として、病院によっては入院させれば
させた医師(いし)の意思(いし)決定に対してインセンティブをつけるというところもあって
成功している場合もあるようです。

やはり微妙な症例の選択で、人情的には帰宅して欲しいが、
インセンティブがつくとなると
返さずに入院させるか、となるのでしょうか? 私にはわかりません。

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メルマガ読者の先生はこちらから続き。

臨床医の経験は研修医の頃しかないし、当時は上級医すらいなかった時代なので
自分が入院させると外来と入院手続きと両方を一人でやらなけらばならず

結構大変だった記憶があります。
多分当時の上級医もいないシステムなら
インセンティブがつこうがつくまいが自分が大変になって、
外来の救急患者の対応がどんどん遅くなるので
インセンティブがあっても入院患者は増えなかったと思います。
私の研修医時代の病院は本当に当直で寝れたという日が
ほとんどありませんでしたから。おまけに翌日も通常勤務でした。

さて、なんか話があっちこっちに行ってしまったので昨日の回答ですが

数ヶ月前のCT (以下提示)では認められなかった


右縦隔から中心壊死を示唆する不定形造影不良域を有する濃染する腫瘍が見られ、


右房から左房、下大静脈から肝へと進展する腫瘍と考えられ、
急速に増大するMalignancy ということで
肉腫系の腫瘍を疑わせますが

結局は病理回答は、悪性リンパ腫でした。

実際は亡くなられて、CPCとなり
Diffuse large B cell lymphoma で壊死を伴っていると書かれています。

腫瘍は右心房から右室壁に存在する白色充実性腫瘍で、
SVCおよびIVC入口部付近からIVCを置換するように
横隔膜、肝実質、左肝静脈へ腫瘍浸潤ありと病理に書かれていました。

さて、壊死を伴うnon Hodgkin lymphoma (NHL)の臨床的意義について研究された 2001年のJCATの報告があるので記載します。

Saito A, Takashima S, Takayama F, et al. Spontaneous extensive necrosis in non-Hodgkin lymphoma: prevalence and clinical significance. J Comput Assist Tomogr. 2001;25(3):482-6.

これによれば治療する前の60例のNHLについてCT, MRIを壊死の有無でレビュー。

60例中15例25%で認められ、そのうち10例で病理学的検討がされました。

壊死を伴う患者は、壊死を伴わない患者と比較して

有意にステージが高く、高いIPI(予後因子指標の一つ)、および高い血清LDHレベルを示していたということです。また、Kaplan-Meyer 法ではLDHやIPIに統計学的有意差なしも、広範囲の壊死には有意差が見られました。

つまりは治療前に広範囲の壊死が見られる症例は25%程度のNHL で、必ずしも稀ではなく、予後不良因子となる。ということです。

なかなか、ここまで急速に増大する悪性リンパ腫は経験値が少なかったことや

急速増大がゆえに中心壊死まできたしていたということでより一層
Malignant lymphoma と言いにくかったのかもしれません。

ただ、その時読影した非常勤医は鑑別診断に悪性リンパ腫を入れていました。
もちろんカルテにはそれらしい記載はなかったのにもかかわらずです。

改めて彼の眼力を敬拝しました。

以上です。本日もメルマガご購読ありがとうございました。

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乾燥の感想、80才台体動困難

駅前のドトールより
イチロウです。

そろそろ2024年も暮れようとしています。

例年になく年の瀬が寒くてびっくりします。
私は朝5:30には家を出ているので
最近は気温1−2度の中を4−5分かかる駐車場まで歩きます。

子供の頃は吐く息って冬は白かったように思うのですが、
最近は外気温が2度でも全く吐く息は白くなりません。

昔小学校の登校時霜を踏みしめながら吐く息が白かったのが蘇ります。
今は息は全く透明です。
これは異常な乾燥にあるようで吐く息から寒さそして風情を体感する
ことすら困難になってしまったようです。

湿度が低すぎるつまり乾燥がひどい現代では外気温が低くても
吐く息は白くならないというわけです。
実際病院の読影室は10−15度前後ととても乾燥がひどいです。
先生は読影室の湿度を気にされたことはあるでしょうか?

さて、そんな話はさておき

今日は80才台 男性の (私だけかもしれませんが)ちょっとびっくり症例を
ご紹介します。先生はどのように考えられるでしょうか?
身寄りのない男性で、前立腺癌の既往歴。フォロー中で
数ヶ月前のCTでは今回の部位には異常はなし。

一応、移動サービス程度の支援を受けながら、一人で生活。
当日移動サービス職員が自宅に訪問時に玄関先で体動困難となっているところを発見。
救急車で搬送。

入院時の造影CT 横断像4スライス、冠状断2スライスをお示しします。

さて、疾患は何を想定されるでしょうか?
難しすぎます。ただ、当時非常勤でこられていた先生は
読影で的確な診断をされていました。

今日もブログご購読ありがとうございました。

PS. そろそろ申し込み数も少なくなってきたようですが
今回の年末年始で EASY PIRADS を受けられる先生は他にいませんか?

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迷った挙句、、、一昨日の回答

駅前のドトールより
イチロウです。

いろいろ考えた末迷っていたのですが
来年の定年(3/31)を機に会社は閉じることにしました。
遅くとも2025年5月か6月頃には閉じる予定なので

それまではコンテンツ配信をいたしますが
おそらくですが会社終了とともに全てのコンテンツは整理する予定です。
有料はともかく、無料のコンテンツはかなりの量があるので
いっぺんに整理はできないでしょうけれど、、、

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定年しても病院には遠隔読影室を作っていただいた手前
残るつもりではいます。
ただ、健康的な理由により
この事業はこれ以上続けていく自信が今のところなくなってきたので
とりあえずはやめる ということです。

何度もやめるやめる言っておきながら 辞めなかったじゃないかと
ツッコミが入りそうですが、今回は本気です。

これまでたくさんの先生方に来訪いただき、ありがとうございました。
まだ、今終了というわけではないので とりあえず

一昨日の回答から
70歳代の男性ですが、いきなり初診時巨大腫瘍で初見となると
いろいろな要素が絡み合ってしまって診断が苦しくなる物です。

しかし冷静にみて最大の特徴が認められていることがわかります。
それはT1WI dynamic でみられる、モザイクパターンです。
つまり、腫瘍の中に腫瘍らしき構造が見えたり、隔壁様の構造があったりすることです。
これらの所見は、HCCの特徴だということです。

隔壁ができる理由は もともと被膜を持った腫瘍が隣同士で存在して
それが癒合していく機序
一つの腫瘍の内部に複数個の別の分化度、大抵はより低分化のものができ、
それらが被膜を形成していくことによりできる機序
被膜を持った腫瘍が被膜外に進展していき、新たに被膜を形成する機序
というように3通りの形成機序があります。
機序は異なれど、隔壁形成の基本は 被膜 です。

そしてその被膜を作る原発性肝腫瘍は HCC が代表例です。
この腫瘍はT1WI 脂肪抑制で広範囲に出血をきたし、T2WIでは結構高信号(私はこれで粘液性の肉腫系の混在を疑ってしまいました。)を示しており
内部の性状をかなり修飾してしまい、本来多血性であるべきHCCが
HCCらしさを失っています。それに目を奪われてしまうと
一体なんだろうということになります。

冷静になって各種の悪性腫瘍の特徴を再度思い出すことで
正解にたどり着ける可能性が出てきます。

最終的には肝左葉切除が施行され
肉眼的には赤色充実性、被膜様、隔壁様構造がみられ
組織学的に類円形・腫大核を有する肝細胞類似の異型細胞が偽腺腔形成の
目立つ索状増殖する中分化相当のHCC とのことでした。
壊死や出血がかなりみられるとのことです。

ただ、部分的に腺管状、癒合腺管状に増殖する腺癌成分を認め
肝細胞癌と肝内胆管癌からなる混合型肝癌 という病理回答でした。
そう言われても混合型かどうかはかなり画像診断は難しいかもしれませんね。

ちなみに検査データも AFP が 11,574 ng/ml と著増していました。
PIVKA II は87 mAU/ml と増加。

以上です。
今日もメルマガご購読ありがとうございました。

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寡黙は正義? 70才台腹部膨満

駅前のドトールより

イチロウです。

(アイキャッチはドイツのエルベ川の風景です)

知人の部長の話。
彼の部下で寡黙すぎるDr.がいるそうです。
朝 おはようございます。と言ったきり
夕方、無言でペコリと頭を下げながら帰るまで
一言も同僚と話をしません。

ウルトラCがつくほど寡黙です。
話しかければ、質問には回答しますが、
話がそれ以上膨らんでいくことはほとんどありません。

ただ寡黙な性格と考えて割り切ればいいのですが、
それでもその部長さんはストレスを感じるそうです。
というのも、、、

************************

ある日のこと部長さんの彼は午後に外勤の予定でした。
しかし、午前中の朝に血管造影が入ってしまい
その寡黙な部下に任せよう(実行部隊は他科の慣れているDr.が施行できるので
画像的な意見だけ欲しいとのこと)と思いましたが
今ひとつ自信がないというか あまりやりたそうな
そぶりを見せず、結局 部長の彼が残ることにしました。

残ることは責任者ですから、特に嫌ではなかったようですが
終わったのが16:00頃になってしまい予定より4時間以上も
外勤へ行くのが遅れることになりました。

部長の彼が じゃそろそろ行っても大丈夫かな? と言って
外勤に行こうとしたら、通常通りの帰りの挨拶の無言ぺこりだけでした。

?? と違和感を感じたようです。この状況想像してみてください。

また、彼のためにいくつか気を利かして部長が稼いだ研究費で物品を買ってあげても
すいません。ありがとうございます。という言葉はなく
またも??? お前って寡黙なだけ? という疑惑が湧いてきました。

その後も休みを取るのにもスケジュール表に書き込むだけ書き込んで
取る前も、とった後もなんの一言もありません。
部長の彼はこれ以上のストレスはきついのでどうしたもんかと、、、私に愚痴りました。

ちなみにその彼は遅刻もしませんし、
朝(おはようございます)と夕方(無言ぺこり)の
挨拶はちゃんとしますし、読影も真面目にやります。
先生はこんな部下持ったことありますでしょうか?
また、彼(部長)に何かその部下取り扱いのアドバイスありますか?

さて、彼の相談事はプライバシーにも関わるのでこれくらいにして

今日は、別の部下が相談してきた1例です。
私が肝の専門であることを分かった上に悩んで相談してきました。
彼は若いですがほとんどの症例は自己完結するので珍しいなという感じでした。
当院では肝腫瘍はどちらかというと珍しいので無理もありません。

70歳代の男性で 腹部膨満感で前医を受診して
腹部腫瘤をふれて、当院にその10日後に紹介受診となりました。

肝細胞相 動画

先生はどう診断されますでしょうか?
私は完全には回答できませんでした。

今日もメルマガご購読ありがとうございました。
イチロウでした。

PS. 締め切りは金曜日です。

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何を今更 EOBなんて勉強するんですか?


もいかがですか?

 

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一昨日82歳男性症例の回答と文献レビュー

イチロウです。

一昨日の症例、回答します。

(アイキャッチ:世界自然遺産 知床)

自分ではさほど経験しているとは思っていなかったので
すごいスピードで読影し、若い割りに経験値が高く
よく勉強している同僚に聞いてみたところ
経験がない と言われ、

そうか、やっぱりそんなに高い頻度では出てこないんだなあと
思い、提示してみました。

回答は、、、

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膀胱壁内脂肪 です。
患者さんは82歳の男性で、単に慢性腎不全で通院中で
腎尿路の形態評価目的に単純CTが撮影され、

おやおや? 一瞬、気腫性膀胱炎か? まずい
と思ったのですが、熱も何も症状がなく
ルーチン的に撮影されていたもので、おかしい
ということで

実は、空気ではなく、脂肪なのではないか?
と思い直し、日本語で検索しましたが、
出てきたのが放射線科医がX でつぶやいていたものでした。
彼は状況証拠のみで、問題ないもと思います。と言っていたのですが
もちろんそれでは納得ができず、Pubmedで掘り下げてみたのですが

論文はさほどは出てきませんでした。
1つは

Kriegshauser JS, Conley CR, Hentz JG. Bladder wall fat on computed tomography with pathologic correlation. Clin Imaging. 2013 May-Jun;37(3):509-13.
で、
非造影CTによる連続患者200例をレトロスペクティブに調査した結果
なんとびっくりすることに30人、15%にもこの所見があり
男性に多く、過去に結石を呈したことのある患者に有意に多くみられたとのことでした。
病理学的には脂肪の存在場所は粘膜下だったようです。

抄録で、結果と結論が異なるので、論文を取り寄せないとわからないですが
結果では尿路感染症が有意に少なかったとありますが、
結論では逆を述べているので、これは信用できません。

一方、もう一つは
Thickman D. Fat within the wall of the urinary bladder: computed tomographic appearance. J Comput Assist Tomogr. 2009 Sep-Oct;33(5):695-7.

で、いわゆるJCAT で、かつてはRadiology、AJRに次ぐ比較的放射線科の中では
権威ある雑誌だったもので

23人の膀胱壁の脂肪がある症例のレビュー論文です。これでは症例の90%が男性で
非造影検査で80%以上が確認されており、有病率は2%未満だったと報告されています。
前記の論文と一致しているのは男性に多いことでした。
有病率は前記論文ではかなり日常臨床とかけ離れた有病率でしたので
2%未満というのは経験値に近いかもしれません。

今回提示の症例も男性であったことは論文と一致しています。

また、Radiopedia を見に行くと他にも論文が提示されており、
Philip AT, Amin MB, Tamboli P, Lee TJ, Hill CE, Ro JY. Intravesical adipose tissue: a quantitative study of its presence and location with implications for therapy and prognosis. Am J Surg Pathol. 2000 Sep;24(9):1286-90.
では、

この論文は病理学の論文であり、脂肪織の存在からpT1かpT3かを診断する際
膀胱壁に脂肪が存在していることを認識していないと
周囲の脂肪織に腫瘍が存在すると誤って判断してしまい
実際にはpT1なのにpT3と過剰評価をしてしまう可能性があると戒めています。

そのため、膀胱壁内には脂肪織が存在していることを知ることが重要で
実際標本を分析した結果
脂肪組織は膀胱壁の粘膜固有層と筋層に頻繁に存在していたと述べています。
特に深層 (外側) 筋層の筋束が膀胱周囲脂肪組織と無秩序に融合しているため、
膀胱周囲脂肪組織と深層 (外側) 筋層との区別は通常不明瞭であるため
実際は膀胱壁の脂肪織に腫瘍が存在するだけなのに、周囲脂肪織に浸潤していると
病理では勘違いするので、注意を喚起しています。

つまりこの論文では病理学的には膀胱壁内の脂肪はかなりの頻度で存在している
と言っているわけです。画像との対比がないので、実際のCT上の
頻度とは違いますが、病理学的にはpT1 と pT3と間違えてしまいそうになるほどに
膀胱壁内には脂肪が存在していることの病理学的に証明している論文です。

また、症例報告ですが、膀胱壁内脂肪の75 歳男性の報告もありました。以下
Patel RR, Javors BR. Intramural vesicular fat–an uncommon CT finding. Clin Imaging. 2012 Jan-Feb;36(1):75-6.
他の脂肪性の所見と間違えないようにと言っています。

以上、意外と論文が少ない
膀胱壁内脂肪織の症例について提示しました。
臨床的意義は少なく、病理学的には膀胱粘膜固有層と筋層に頻繁に存在するもので
男性に有意に多く、尿路結石経験者に多い 有病率は2%未満
というものでした。

まずは、気腫なのか脂肪なのかを判断することが必要ですが
よくよく見ると気腫性膀胱炎の空気は結構派手なので
数例見れば、見間違えることはないと思います。
また、脂肪の方は無症状なので、これも重要でしょう。

以上、イチロウでした。

イーパイ今回は申し込みの先生が少ないようですが、、、今日が申し込み最終日です。

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今日もメルマガご購読ありがとうございました。

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貧血ならそれを受けるしかない。82歳男性膀胱に何が、、、

駅前のドトールより
イチロウです。

(アイキャッチ:インドネシアの東ヌサトゥンガララブアンバジョ)

以前、腹痛/下痢が結構な頻度で起こるようになり
ここ数年はかなり苦しんでいました。
そのサイクルも短くなっていたので
整腸剤とか下痢止めとかに頼り切って治していたを見ていた
妻に大腸検査してみたらと言われ

近医を受診し、イリボーという過敏性大腸炎の薬の投与で
すっかり治ってしまいました
しかし、薬をやめるとまた、同じようになってしまい

以前受けて結構辛かった経験から
渋っていた大腸検査をついに来週受けることにしました。
同時期に行なった血液検査で貧血も見つかり
大腸検査は絶対に受けなければならない検査となった次第です。

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なので、メルマガもとりあえず、検査次第ですが
今週で一旦終了となるかもしません。

気を取り直して、今日は昨日と似たような症例を提示します。
82歳、男性で、腎臓内科からのオーダーです。
いかがでしょうか?
症状などは今回はあえて、提示しません。

今日もメルマガご購読ありがとうございました。

イチロウ拝

9月1日から28日見放題企画 イーパイ募集。

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