駅前のドトールより
イチロウです。
当日は教授との面談が
夕方に予定されていました。
早朝に教授へのプレゼンスライドを確認し
準備は万端だな
と自分にいいました。
朝の読影から
今日は早めに出るので
ちょっといつもよりアクセルを踏んでいました。
昼になり いつものように一定時間(20分程度)は
部屋で仮眠(私はpower nap と呼んでいます)をとっていました。
すると 後期研修医の A 君が珍しく
部屋のドアを ノックしてきました。
昼はエネルギーを充電するため
お互いに 休み時間を 邪魔しないとしている中
そのような行動にでるのは
極めて珍しいことです。
緊急かつ 彼では対処できないことなのだな
と 察知しました。
すぐに 自分の部屋をでて
CT室 というか読影室に向かいました。
(今まさにダイナミック造影CTを撮り終えていたからです)
読影室では
救急医が私のコメントを待っていました。
PACS上の画像をめくっていくと
明らかに ○○損傷となっていました。
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患者は40才台の男性
糖尿病があり、既に 腎機能は廃絶し
透析を受けておられました。
画像は以下のようでした。
さて、先生はここでどうされますか?
私は、血腫は反対側に及んでおらず
後腹膜血腫だし
血行動態も安定しているので
一旦、様子見でいいのかなと思っていました。
そこに教授面談があるので
今日は早く出ないといけないので
今から 血管造影はむつかしいなという
バイアスが潜在的にかかっていたということは
嘘とは言えませんでした。
救急医はこれにより保存的治療でいいのかなと
考えていたと思います。
なので私の発言はかなり重大でした。
私の 記憶で保存的で良いと思っていたのですが、、、
念のため、新たにガイドラインは出ていないかを
確認することにしました。
実は、2016年にすでにガイドラインが
出ていたのです。
迂闊でした。
PDFで見ることが可能です。
http://www.urol.or.jp/info/guideline/data/19_renal_trauma_2016.pdf
それによれば、
腎損傷のTAEの適応について
P36 CQ12には TAEの適応について書かれていました。
普段 救命救急センターをかかわり合いの強い
あるいは IVRを担当している放射線科医の先生なら
当たり前の話なのでしょうが
そうでない先生は ご存知ないかもしれません。
TAE適応については
推奨グレードB で
生命を脅かすような循環動態を初期輸液で安定化出来ることが大前提である。
造影CTで造影剤の血管外漏出像(contrast extravasation)が認められたり、
血腫が広がっている場合はTAEの適応である。仮性動脈瘤は
受傷後どの時期においても生じることがあり破裂の危険性があるためTAEの適応である。
ただし、腎頸部血管損傷では基本的にTAEの適応にならない。
とありました。
や、やばい 後悔だけはしたくない!
とすぐに 救急医のところに飛んで行きました。
以前も、ご報告した 動脈出血で、苦労して血管造影を
行ったにもかかわらず 血管造影後の
CTの確認で 門脈からの出血であったことが判明
(血管造影前にはレトロスペクティブに見てもわかりませんでした)
した症例を紹介したと思います。
結局あの患者さんは手術で止血されましたが・・・
もし、今回TAEをやらなかったら後悔が残ると思いました。
救急医は 大学病院に送ってもいいですよとは
言ってくださったのですが
その搬送時間も 治療の遅れにつながったら と思い
循環器内科の予定症例を後に回って頂き TAEをすることにしました。
さて、先生ならガイドラインに沿って
当然 血管造影でしょうか?
それとも一旦様子見でしょうか?
ご意見のあられる先生お願いします。
以上 イチロウでした。
さて、12月29日 14:30−17:00 に
松本先生セミナーを開催いたします。
松本先生は 救急画像診断の世界では恐らく知らない先生は
いらっしゃらない と言うくらい有名な先生です。
世界を飛び回っていることもご存知だと思います。
その先生と9月にインタビューをしています。
彼とのインタビューは8回に分けて
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まずは、第一回、第二回 の音声をお聞きください。
password は Matsuichi12 です。
お間違いのないようご入力ください。
ガイドライン読んだこと無かったので、勉強になりました。ありがとうございます。
ガイドラインに沿えば、仮性瘤があるので、TAE適当となる状態ですね。もしバイタルが安定していて、止血能が保たれている状態で、スタッフ呼び出しが必要な深夜なら様子を見るかもしません。透析中でも自尿があればできるだけ腎機能を保ちたいので、状態が安定している場合は様子を見るかも知れません。まったく無尿なら腎門部で塞栓してしまいます。腎臓は線溶系が亢進しているので、軽く詰めても止まらない印象があり、塞栓するときはしっかり詰めます。
高知のジョイス先生 いつも コメントありがとうございます。
現役でIVRをやられているおられる先生の生の声は助かります。
この方は若いですが、DM腎症でHD中です。無尿のはずです。
extravasationが多発していたので腎動脈本幹から施行させていただきました。
副腎不全が心配でしたが。。。このような場合あまり気にする必要ありませんか?
DSA/ TAE一択だと思います。
右腎内に活動性出血を疑う後期相での広がりがあることが理由の第一です。
また透析中であり、凝固系の異常も予想され、のちのちショックになる可能性もあるのも理由となります。
たしかに予定があると「大丈夫ではないか?」バイアスがかかりますが・・・
もっと軽い症例でも、わずかにextarまたは仮性瘤が疑われれば、DSAだけで終わろうとも、念のため見に行くと思います。
(術後の小さな仮性瘤は様子も見ていもいいのではとの論文がたしか女子医大から出ていたような気もしますが・・・)
ついでに肝生検・RFA後で門脈出血ですが、当方でも確か数例ありました。
自分が担当したRFA後の門脈出血は、アドナ・トランサミンでお祈りして止血しました。
他の症例で外科のお世話になったものもあった気がします。
(さっきから気がするばかりで、記憶があやふやなのはご勘弁ください)