肝臓界のスーパースター えっつまた非典型例かあ・・・

駅前のドトールより

イチロウです。

さて、8月24日 金曜日YICが開催されました。

今回は以前も言いましたが

スポンサーが降りてしまったことで

そのスポンサーの最後と引継ぎということで

有名どころのスピーカーが招聘されていました。

そのお方は私が肝臓画像診断が大好きになった頃の

スーパーヒーローでした。

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メルマガ読者の先生はここから

彼の名前は

松井修 先生です。

おそらく私の世代や10年前の世代の

放射線科医では知らない人はいないという

スーパースターです。

 

にもかかわらず誰 に聞いても

人柄がすばらしいことで

知られていました。

 

なので、今回集まった先生は合計83名でした。

(ちなみにいつもは50名くらい)

ただ、そんなことには

先生は あまり興味ないと思われますので

どんな内容だったかをお話します。

 

松井先生の講演の中身はいずれ話す機会があるかもしれないとして

今回の演題は

①胆管癌のセカンドオピニオンで来院した女性

②巨大肝門部腫瘤の1例

③比較的緩徐に増大した肝腫瘤

の3演題でどれもがいつものようにむつかしい症例でした。

松井先生の御演題は

肝細胞性腫瘤:Gd-EOB-DTPA造影MRI所見と分子病理学的背景

でした。

 

①のセカンドオピ ニオンで来院した女性の症例は

59才 女性 で 肝機能障害で来院されましたが

実は4年前に 多発の小さい肝結節が認められていおり

この時は 結節がDWIで高信号、T1WI低信号、T2WI 高信号でした。

DWIで高信号ですが、ADCマップの提示はありませんでした。

 

今回提示の病院には初診から4年経過した状態で

胆道を閉塞する腫瘤の存在と肝内の多発する上記の

結節が増大した状況でこられていました。

腫瘍は乏血性であり 辺縁の一部に濃染あり

拡散強調像で強い高信号、T2WIで高信号、T1WIで低信号と

malignancy を思わせる状況でしたが

初発から4年経過していることが不可思議でした。

 

また、今回黄疸で発症しBil 6.5で

胆道を腫瘤が取り囲んでおり、同部にはステントが挿入されていました。

超音波が提示され

腹側が低エコー、背側が高エコーを示していました。

IgG4は上昇なし

PET-CTではリンパ節のみRI集積がみられており

肝内の多発腫瘤には集積はありませんでした。

選択肢は

 

1. サルコイドーシス

2. 悪性リンパ腫

3. 神経内分泌腫瘍

4. 胆管がん

5. その他

というものでした。

 

まとめると最大13年の経過で増大していった

飲酒歴、喫煙歴のない IgG上昇のない

59歳女性の 黄疸発症 の

多発肝内腫瘤、多発リンパ節腫大

経過から考えて 胆道閉塞を呈しているとはいえ

悪性リンパ腫や 胆管がんはまず考えられません。

 

のこるはサルコイドーシス と 神経内分泌腫瘍ですが

サルコイドーシスはT2WIで低信号 というのが

頭にあったので 消去しました。残ったのは

神経内分泌腫瘍になります。

ただ、多血性の腫瘍であるというのが頭になぜか引っかかり

(実際に多血性結節の部分が存在しなかった)

 

さらに前回 その他 となる診断名が3例中2例となったことから

神経内分泌腫瘍ではなく その他 を選んでしまいました。

最終回答は 神経内分泌腫瘍だったのです。

 

めちゃめちゃ悔しかったのは言うまでもありません。

ご存知のように神経内分泌腫瘍が慢性経過の過程で

線維化 していくことがよく知られています。

 

そのため、多血性部分が乏血性に変化するのは

実際にはよくあることなのですが

ほとんどの見えている腫瘍が そうだったことや

胆管を閉塞させていたことなどは

非典型だったように思えます。

 

2例目、3例目については

次回お話します。

イチロウでした。

PS.

ついに第三回 Easy PI-RADSを開催します。

詳しくは こちら

http://medicaldirect.jp/archives/5446

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