駅前のドトールより
イチロウです。
いろいろ考えた末迷っていたのですが
来年の定年(3/31)を機に会社は閉じることにしました。
遅くとも2025年5月か6月頃には閉じる予定なので
それまではコンテンツ配信をいたしますが
おそらくですが会社終了とともに全てのコンテンツは整理する予定です。
有料はともかく、無料のコンテンツはかなりの量があるので
いっぺんに整理はできないでしょうけれど、、、
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定年しても病院には遠隔読影室を作っていただいた手前
残るつもりではいます。
ただ、健康的な理由により
この事業はこれ以上続けていく自信が今のところなくなってきたので
とりあえずはやめる ということです。
何度もやめるやめる言っておきながら 辞めなかったじゃないかと
ツッコミが入りそうですが、今回は本気です。
これまでたくさんの先生方に来訪いただき、ありがとうございました。
まだ、今終了というわけではないので とりあえず
一昨日の回答から
70歳代の男性ですが、いきなり初診時巨大腫瘍で初見となると
いろいろな要素が絡み合ってしまって診断が苦しくなる物です。
しかし冷静にみて最大の特徴が認められていることがわかります。
それはT1WI dynamic でみられる、モザイクパターンです。
つまり、腫瘍の中に腫瘍らしき構造が見えたり、隔壁様の構造があったりすることです。
これらの所見は、HCCの特徴だということです。
隔壁ができる理由は もともと被膜を持った腫瘍が隣同士で存在して
それが癒合していく機序
一つの腫瘍の内部に複数個の別の分化度、大抵はより低分化のものができ、
それらが被膜を形成していくことによりできる機序
被膜を持った腫瘍が被膜外に進展していき、新たに被膜を形成する機序
というように3通りの形成機序があります。
機序は異なれど、隔壁形成の基本は 被膜 です。
そしてその被膜を作る原発性肝腫瘍は HCC が代表例です。
この腫瘍はT1WI 脂肪抑制で広範囲に出血をきたし、T2WIでは結構高信号(私はこれで粘液性の肉腫系の混在を疑ってしまいました。)を示しており
内部の性状をかなり修飾してしまい、本来多血性であるべきHCCが
HCCらしさを失っています。それに目を奪われてしまうと
一体なんだろうということになります。
冷静になって各種の悪性腫瘍の特徴を再度思い出すことで
正解にたどり着ける可能性が出てきます。
最終的には肝左葉切除が施行され
肉眼的には赤色充実性、被膜様、隔壁様構造がみられ
組織学的に類円形・腫大核を有する肝細胞類似の異型細胞が偽腺腔形成の
目立つ索状増殖する中分化相当のHCC とのことでした。
壊死や出血がかなりみられるとのことです。
ただ、部分的に腺管状、癒合腺管状に増殖する腺癌成分を認め
肝細胞癌と肝内胆管癌からなる混合型肝癌 という病理回答でした。
そう言われても混合型かどうかはかなり画像診断は難しいかもしれませんね。
ちなみに検査データも AFP が 11,574 ng/ml と著増していました。
PIVKA II は87 mAU/ml と増加。
以上です。
今日もメルマガご購読ありがとうございました。
今回の肝腫瘍症例は(も?)難しい症例でした。とても大きな腫瘍なので特殊なものかと思いましたが、基本的な所見をしっかり拾うことが大切ということですね。
長い間Medical direct.jpの運営お疲れ様でした。先生の発信された教材から学んだ内容で助かった医療者や患者さんはたくさんいらっしゃると思います。私もその一人です。ありがとうございました。