一度知ってしまえば・・・ でも類似の疾患も・・・

駅前のドトールより

イチロウです。

 

さて、おかしなもので

初期研修医(放射線科決定)

が回っている時は

結構チェックがめんどいなと思いつつ

居ないとそれもまた

やりがいもちょっとなくなります。

 

1箇月交代くらいがちょうどいいのかもしれません。

 

それはさておき、

今日はコンテンツとしてはあまりに

簡単すぎてスルーしてもらっても構いません。

 

というのも

主に単純写真でのピットフォールとして

有名な 腸骨のあれについてだからです。

 

当院では既に単純写真は

ルーチンには読まなくなっています(耳鼻科と眼科や皮膚科の術前くらい))

 

なので、骨盤の単純写真を読影依頼

がかかるということは皆無です。

 

しかし、CT上それが見えてしまうことは

よくある事実であり

当然、目ざとい研修医であれば聞いてきます。

 

「これってなんですか?」

そこで、知っていれば にや っとして答えますが

知らないと 調べることになります。

調べれば このネット時代一瞬で回答は導き出されますが

いつも調べている上司では

格好悪いですよね。

 

それはこれです。

 

以下 図

62F  左腎腫瘤精査の目的でCTが撮影 実際にはなかった
仙腸関節についての症状はない 偶然に見つかる

osteitis condensans ilii 62F1

osteitis condensans ilii 62F2

はい 簡単ですね。

単純写真の教育をちゃんと受けていれば

当たり前の所見ですが

受けていないと うーんです。

 

有名な Keats の青い分厚ーい normal variation

の教科書にも載っています。

 

そこで当院CTで

osteitis condensans ilii (恥骨にもあれば pubis )と読まれたものを

調べると 調べた限りは女性ばかりでした。

昔から 経産婦に生じると言われてはいますが

実は男性にも起こると言われます。え?男性にも起こる?

ですよね。私はあまり記憶がありません。

経産婦的の骨盤が開いてしまうことが

osteitis condensing ilii の原因といういかにもな理由を除くと

 

仙腸関節部の栄養血管障害に起因した炎症性変化や

骨盤の過剰移動による血管炎

股関節、仙腸関節部の外傷などが あげてられていますが、

実のところ原因はわかりません。

 

症状としては腰痛や仙腸関節部、恥骨の疼痛を主訴とすることもありますが

無症状で偶発的に見つかることも多いですね。

 

CTでは以下にお示ししますように仙骨、腸骨いずれにも

硬化性変化が見られています。

45歳女性 腰痛が持続、生理時にも痛みが強くなることあり

osteitis condensans ilii 45F 1

osteitis condensans ilii 45F 2

私が習ったときは単純写真の世界だったからか

ilii と言われるように腸骨のみに病変があるかのように

書かれていたものですが、実際には仙骨にも生じています。

 

ちなみに 私は日本語を恥ずかしながら知らなかったのですが

腸骨硬化性骨炎 というそうです。

もう一例 添付しておきます。やはり仙骨、腸骨に病変あります。

63歳女性 右乳がん部分切除後 7年半経過 転移のチェック目的に撮像

osteitis condensans ilii 63F 1

osteitis condensans ilii 63F 2

osteitis condensans ilii 63F 3

osteitis condensans ilii 63F 4

 

 

osteitis condensans ilii 63F 5

T2WIでは背景の脂肪髄と比べると低信号ですが、T2WIFSでは背景脂肪が抑制され高信号を示しています。拡散強調像では高信号ですが、 ADC mapでは低信号ではなく、高信号です。シンチグラフィは集積します。

以下

osteitis condensans ilii 63F 6

———————————————–

数年前に経験した 仙骨、恥骨の脆弱骨折を疑った症例は

逆に腸骨に病変が全くありませんでしたが、

osteitis condensing ilii の所見の組み合わせのように

仙骨と恥骨に病変を生じていました。

整形外科医は 脆弱骨折と判断して

ボナロン(骨の中の破骨細胞に取り込まれて、破骨細胞の活性を

抑制することにより骨吸収を抑えて、骨量を増やして骨を折れにくくする薬)

とビタミンD3を投与していました。

画像は以下 ご参考までに脆弱性骨折と臨床診断 66F 1

脆弱性骨折と臨床診断 66F 2

脆弱性骨折と臨床診断 66F 3

脆弱性骨折と臨床診断 66F 4

脆弱性骨折と臨床診断 66F 5

脆弱性骨折と臨床診断 66F 6

脆弱性骨折と臨床診断 66F 7

脆弱性骨折と臨床診断 66F 8

脆弱性骨折と臨床診断 66F 9

その後は当院に来られていないので

結果は不明です。

腸骨に病変がないことや仙骨に病変が広く見られることから

やはり脆弱骨折だったのかもしれません。

単純写真の経過で6ヶ月で、仙椎と恥骨に硬化性変化が

目立ってきていました。

以上今日は単純写真の話でした。

 

イチロウ拝

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一度知ってしまえば・・・ でも類似の疾患も・・・ への1件のコメント

  1. 秦 康博 より:

    いつもありがとうございます。
    見ているけど気が付かずに読み飛ばしている事が多そうなosteitis condensans iliiを
    詳細にまとめてくださいましてありがとうございます。早速Evernoteにクリップしました。せっかくですからpitrial reviewとして投稿してはいかがでしょうか?

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