駅前のドトールより
イチロウです。
さて、前回門脈出血の症例を提示させていただきました。
その原因が 肝生検 だったのですが
その肝生検 18Gの針で 2回 穿刺しただけで
超音波ガイド下に施行されています。
今回の生検は・・・
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SOLの生検ではなく
原因不明の急性肝炎に対する原因診断が
目的でした。
あまりにも珍しいことだったので
文献を当たってみたのです。
Radiology 2013年 266巻 226-35に
Howlett DC らの
Findings of the UK national audit evaluating image-guided or image-assisted liver biopsy. Part II. Minor and major complications and procedure-related mortality.
がありました。比較的最近の英国発の論文です。
210施設のうち 41%に当たる 87施設からデータが収集され
全部で3486例 でそのうち4例が出血関連死 が認められ
つまり 約 1000例に1例 0.11%の死亡率 です。
軽度の痛みは 10%に認められ、
重度の痛みは 1%に認められました。
低血圧は、 0.75%
重大な合併症として 出血が 14例で 0.4%.
血性胆汁が 0.06%、
誤って腎穿刺してしまったのが 0.03% 1例
腸管をさしてしまったのが 0.03% 1例
胆嚢穿刺はなく、肺をさしてしまったのは 0.03% 1 例
他の臓器を穿刺したのはありませんでした。
つまり多臓器穿刺は 腎、腸管、肺 の3種類でそれぞれ1例ずつです。
生検後に輸血を必要としたのは 12例 0.34%
ドレナージを必要としたのが 4例 0.12%
開腹術を必要としたのが 1例 0.03% でした。
今回の症例のように塞栓術を行ったのが 2例 0.06%でした。
このデータを見て明らかなように
TAEに至る症例は極めて稀なのです。
開腹手術(横行結腸穿刺のため)を必要とするも稀なことがわかります。
上記のように死亡率は 0.11%でしたが、
死亡原因はすべて出血です。
4人のうち2人の患者が輸血を受け
1人の患者が術後経カテーテル塞栓術を受けています。
死亡した4例以外の15例の重大な合併症患者のうち
痛みがあったのはたった5人でそのうち2人は軽度の痛みです。
ただ、疼痛は肝生検においてのもっとも一般的な合併症で
患者の84%に生じる(J Gastroenterol Hepatol 2007;22:1490)とも言われていますが
超音波ガイドによって軽減される(Hepatology 2000;32(3):477–481.)
と書かれています。
今回の大規模な調査では痛みは11%でした。
(軽度の痛みは30%未満、重度の痛みは3%未満に抑えるのが基準)
考察で言われているように
16Gによる生検は 18や20Gの針と比較して
軽度の合併症の率が高かったようです。
逆に14Gによる生検は軽度の合併症が減少していたという
おかしな結果だったようですが
理由としては太い針は
合併症率の高い SOL穿刺 には使用せず
びまん性肝疾患に使用されることが多いためと
説明されています。
穿刺回数と合併症とは必ずしも関係なく
1回で11%、2回で12%、3回で9%、4回以上で11%
と言う結果です。
この論文内では読んだ限りは明確な
門脈出血との文字は見つけられませんでした。
なので、今回の症例は
極めて合併症の少ない肝生検に生じた
極めて珍しい 門脈 出血 の1例だったのです。
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