駅前のドトールより
イチロウです。
さて、先週の木曜日から
PI-RADS v2. に関連したコンテンツや情報を
お伝えしてきました。
そもそもの始まりは
今回のアンケートの質問3で見られた私の感情です。
アンケートをお答えでない先生は
ぜひともお願いいたします。
https://jp.surveymonkey.com/r/DX3C2YL
PI-RADS v2という言葉はどこで初めて聞いたのか
よく覚えていませんが、、、
もともとBI-RADSに閉口していた私は、その言葉を聞いて
今回のアンケートの質問の選択肢の
「いやーBI-RADS もままならないのに
正直また覚えるのはしんどいなあ」 と感じたのです。
実際、今回イチロウが独自に
アンケートをやってみると現時点では最も多い
29%の先生がそう感じたようです。
しかし、、、見よう見まねでも読影し続け
病理所見とも対比しつつやっていると
その意味を泌尿器科医が理解していていただけていないと
報われないぞ この努力
と思ったので
よく当科にコンサルトにこられる若手
泌尿器科医Y先生に
実は最近は PI-RADSで読影している
のだということを
アピールしたわけです。
すると 2週間後に彼が得意げにある文献を持ってきたのです。
それが http://medicaldirect.jp/blog/?p=570
のビデオの中で紹介した 泌尿器外科 2017, 30, 257-261の
PI-RADS scoreと 病理との対比の表でした。
その時の彼の輝いていた目は忘れられません。
それから、時間がかかるけれどなんとか
読影してきました。
その後の泌尿器科医の反響は聞いていませんが
前回のメルマガで紹介した2人の泌尿器科医への質問の
一番初めの質問で
Q1. . 放射線科医はPI-RADSや記述形式などの様々な方法で
報告しますが、どの報告書の形式がいいですか?
A, PI-RADS形式
です。 と答えたことを考慮すると
自分は間違っていなかったなあ と感じています。
実際、米国では7人に1人が前立腺癌となる危機的状況の中
日本に先駆けていろいろな論文が登場しています。
さて、今日はAJR 2018;210:101-107
Spilseth B1, Ghai S2, Patel NU3, et al. です。
目的はズバリ 前立腺MRI報告に関する放射線科医と
泌尿器科医の意見を比較することです。
AJRが こんなに真面目にこのようなスタディをアクセプトしているとは
前立腺がん撲滅、早期発見に対する並々ならぬ決意が読み取れます。
この研究の目的は、前立腺MRI報告に関する放射線科医
および泌尿器科医の意見を比較することです。
対象と方法は泌尿器科癌学会の泌尿器科会員(泌尿器科医)
と腹部放射線学会の会員である放射線科医は、
前立腺MRIの報告に関する電子的な調査を受けました。
余談ですが、Google の無料アプリである
Google Form を使ったようです。日本では認知度低いですが
非常に高機能らしいです。私は使ったことありません。
結果:
放射線科医の回答率 12%(135/1155)
泌尿器科医の回答率は 8%(54/663)でした。
・自施設でPI-RADSを採用と回答したのが
放射線科医、84%、
泌尿器科医、78%
・患者ケアに対する影響を理解している
放射線科医、89%、
泌尿器科医、71%
・放射線科医がPI-RADS v2カテゴリーを正しく適用していることに同意する
放射線科医57%
泌尿器科医61%
・PI-RADS v2.を使用する放射線科医の経験不足を感じている
放射線科医 51%
泌尿器科医 51%
・PI-RADS v2.を使用する泌尿器科医が経験不足
放射線科医 46%
泌尿器科医 51%
・標準化されたテンプレートの欠如
放射線科医47%
泌尿器科医52%
以上は比較的放射線科医と泌尿器科医の意見が一致していました。
しかし、意見が分かれたのは
・報告書にはフォローアップのマネージメントの推奨、
例えば、狙い撃ち生検を推奨するか?
放射線科医58%
泌尿器科医34%
フォローアップ画像を推奨するか?
放射線科医46%
泌尿器科医28%
そしてフォローアップ画像の間隔時間を含んで記載すべきか?
放射線科医、35%
泌尿器科医、16%
泌尿器科医の54%が完全に構造化された
報告書を優先していたのに対し、
放射線医の53%はハイブリッドつまり構造化
およびフリーテキストの報告書を優先していたようです。
結語は
泌尿器科医は完全に構造化された報告書を発行することを
(たとえ経験が浅い放射線科医が使う可能性があっても)
強く望んでいるようですが、
放射線科医が患者のマネージメントの
推奨(生検、画像とその間隔の推奨)を含めることには同意しない
放射線科医と泌尿器科医の協力に向けたより厳密な取り組みは、
患者のケアにおける前立腺MRI報告の効果を
最適化するのに役立ちます。
と結んでいます。
要するに泌尿器科医は強くPI-RADSによる構造化されたレポートを
望んでいるし、実際に多くの施設で採用されている
たとえ、経験不足の放射線科医が読影しようと
構造化されたレポートを書くことを泌尿器科医は強く欲している
ただし、生検をやった方がいいだとか
次の画像はいつやるべきだとかの指図はいらない
余計なお世話? ということらしいです。
今後もお互いが協力してより良い構造化レポートを
作っていき患者ケアの最適化に役立てていきましょう
という感じでしょうか。
では次回は当院の実際のの撮影シーケンスは
どんなものを撮像しているのか
つまりマルチパラメトリックMRI
の実際の中身についてお話しします。
イチロウ拝
PS. アンケートもそろそろ締め切り(金曜日頃)しますので
ぜひ最終コーナーの参加をお願いします。
実際にかかる時間は数分ですよ。