駅前のドトールより
イチロウです。
腹膜垂炎のKey image 読影レポートサンプル付き
読影レポートサンプル
【腹部CT】
臨床情報:右下腹部痛
所見:
・上行結腸中部の腹側に辺縁を線状高吸収域で取り囲まれた限局性の脂肪織濃度上昇が認められ、さらに周囲に境界不明瞭な脂肪織濃度上昇が見られています。限局性の脂肪織濃度上昇の中央部には点状高吸収域が認められます。大腸の前方に位置し、腸管壁肥厚像は認められず、憩室も見られません。従って、腹膜垂炎が疑われます。
【画像診断】
・上行結腸 腹膜垂炎疑い
放射線診断専門医 イチロウ
動画
昨年末29日の金曜日
ある理由から
楽天本社に行ってきました。
ある理由については
ここではしゃべれませんが
楽天については
説明する必要のないほどの
巨大企業であり
個人的には楽天証券、楽天トラベル、楽天市場(ふるさと納税含む)
を利用しています。
29日の10:30からの面談約束ということ
だったのですが
お会いするお相手を考えると
やや緊張し、時間より30分以上も前に
二子玉川の駅に着いてしまいました。
編集後記へ続く
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先日それらしい症例に遭遇したので
やはり、忘れた頃にやってくるなあと思い
再度確認目的に AJR 2004年の 183
CT appearance of acute appendagitis.
Singh AK1, Gervais DA, Hahn PF, Rhea J, Mueller PR.
を読み返しました。
acute appendicitis はほぼ1ヶ月に数回は自分で読影するので
そのヴァリエーションについて知ればいいだけですが
appendagitis の方はしばらく来ないと
私のようなお年寄りは忘却してしまいます。
この所見でよかったんだよねー・・・となります。
なので
論文では キリのいい50例で検討しています。
あ、まず、appendagitis をわからないという先生のために
appendagitis は腹膜垂炎の事です。
腹膜垂はご存知ですよね。
腹膜垂は結腸ヒモにくっつく脂肪の塊(血管含む)
(全体で100箇所ほどあり、S状結腸で多い)で
ちぎれて石灰化したものを 腹腔内遊離体
と呼んでいて 日常茶飯事で見かけますよね。
(大昔は陳旧性結核と間違えていたようです)
とにかく、その結腸ヒモから連続する
脂肪の塊が 捻転を生じ、虚血を起こし、炎症を生じたものを
腹膜垂炎 と呼んでいます。
腹膜垂炎は肥満, ヘルニア, 慣れない運動との関連性もあり.
発熱や白血球上昇は認められないことが多い.
腹膜垂炎の好発部位はS状結腸, 下行結腸, 右半結腸が多い.
通常自然に改善するが, 一部で癒着や腸重積, 腸閉塞, 腹膜炎等を来す. これはどこかに書いてありました。
ですが、AJRに戻ると
35例の男性:15例の女性 で 7:3 の割合で
男性に多いとなっています。
約38%(19/50) は40歳以下で
救急にこられたのは18例 36%で保存的治療で
24時間以内に退院しています。
白血球上昇はわずか 3例 6%です。
48/50人=96%が限局性の腹痛。
腸閉塞を生じた人はいませんでした。
頻度ではS状結腸が62%、下行結腸18%、盲腸12%、上行結腸8%の順
結腸内腔との関係では
結腸の前方側が41例 82%と最も多く
外側 8%, 下方 6%, 内側 4%でした。
ヘルニア嚢内に生じたものはありませんでした。
画像所見は特徴的で 典型的なものは
大腸壁外に突出する脂肪構造とその辺縁を取り囲むリング状構造
その周囲の炎症を示唆する脂肪濃度上昇
脂肪構造内部の点状の濃度上昇の4層構造で構成されます。
その脂肪構造(最初に脂肪の塊といったもの腹膜垂の本体)
の最大径が3.5cm 以上のものは5例も見られました。
最も大きいものでは5.8cmあり、32歳の男性に認められています。
1.5cm-3.5cm の間のものが 43例 つまり 86%に見られています。
ということは1.5cm以上のものは48例 96%に相当することになります。
この脂肪内に存在するいわゆる central high-attenuation
は54%に存在し、腹膜垂炎の診断の良き手がかりとなります。
これは炎症を生じた腹膜垂内の血栓化した血管構造
と言われています。
また、陰性所見ではありますが、憩室炎との鑑別で
非常に重要なものがあり
それは 大腸壁の肥厚が見られる確率が低いことです。
この論文では2例 4%にしか見られていません。
大腸壁の前方に病変が位置している点(82%)も
重要です。
さらに6ヶ月後のフォローCTを施行された患者様全例
CT所見は全く正常化したという点も重要かもしれません。
以上 腹膜垂炎は通常は保存的な治療で
特に抗生剤の投与も必要とせず、痛み止め で対応するもので
ましてや手術は 行ってはいけないものです。
なので、放射線科医がしっかりと
腹膜垂炎です! と言ってあげることが
術前病理医 としての役目 と思われます。
(術前病理医とはある外科医が言った
放射線科医をさすことらしいです。単に個人的命名です)
まとめ
腹膜垂炎は、結腸に縦走するいわゆる結腸ヒモから
連続する脂肪と血管でできた腹膜垂が捻転を生じて
虚血となり 炎症をきたしたもので
通常は 痛み止め のみでの処置となり
すっかりよくなる 予後が非常に良好な疾患であり
鑑別として虫垂炎、憩室炎、大網梗塞など上がりますが
もっとも鑑別として間違えそうなのが憩室炎です。
腹膜垂炎:特徴的なこと
①結腸の前方に位置する 病変 82%の症例
②類円形、卵円形の脂肪の塊とリング状の高吸収域、その周囲の脂肪濃度上昇、
③脂肪の塊内の血栓化した血管を示唆する点状、不定形の高吸収域 という特徴的所見を示す
④陰性所見として 大腸壁の肥厚はほぼ見られない(4%程度)
⑤1.5-3.5cmのものがほとんど 大きさは重要項目です。
⑥S状結腸が62%、下行結腸18%、盲腸12%、上行結腸8%の順
❼白血球上昇はほぼなし(6%のみ) 発熱も少ない
❽7:3 の割合で男性に多い
❾約38%(19/50) は40歳以下
その目で憩室炎と見比べてみてください。
以上 イチロウでした。
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編集後記続く。
早く着きすぎたので
二子玉川をちょっとだけ散策して、
10分前にクリムゾンハウス(楽天本社の別名)
に入りました。
事前にネットで調べると
クリムゾンハウスには
受付嬢がいない と書いてありました。
通常ですと
会社の誰々さんと約束なんですが
なんてことを
綺麗な? (綺麗な神話あり)受付嬢にお話することになり
こちらでお待ちください 的な
ご案内となるのでしょうが、
受付嬢もいないと書いてあったので
仕方なく、警備員の方に
約束しているのですがどうしたら・・・
と聞くと
玄関入って左側に様々なおしゃれな机が並んでいた
(おそらく楽天市場で出されているような商品)ところに
座って待っていてくださいとのこと
「あーあれって展示品ではなく、
座ってよかったんですね。」となり
座っていると
ほどなく 約束していたもう一人の方が
外からやってこられました。
続く・・・
PS. 今、PI-RADS セミナーをやるべく
スライドを作っているところです。
ご興味のある先生 乞うご期待
え? 興味ない??