Gd沈着の最終章

駅前のドトールより

 

イチロウです。

 

さて先週までのまとめとして

2014年にKanda らにより

ガドリニウム造影剤の投与により

歯状核と淡蒼球にどうやら

ガドリニウムが沈着して

T1WI上高信号を呈する

というのが明確になり

 

それは腎機能正常者でもなりうること

マクロ環では生じず

直鎖型のガドリニウム製剤で

生じることが明瞭となりました。

 

この一連の報告に世界は

衝撃にまみれ

ここぞと ばかりに追試がなされたようです。

 

今日はその追試のうち2編について

お話します。

 

まずはErrante らの論文

Invest Radiol.2014:49:685-690

 

彼らはかつて歯状核で高信号を示す

疾患の代表と言われていた多発性硬化症患者

ともう一つの代表である 脳転移の患者について絞って

調べてみたようです。

 

ガドリニウム造影検査の累積回数と

非造影T1WIで見られる歯状核高信号との関連性を

評価したわけです。後ろ向きの研究で ですが。

 

2回以上連続して造影MRI検査が施行された

多発性硬化症患者38名

脳転移患者 37名 が対象患者です。

歯状核および橋の平均のT1WI 上の信号強度を測定し

歯状核-橋(DNP)信号強度比を算出しました。

 

造影MRIの施行回数が6回未満の患者と

6回以上の患者の間でこの値を比較した。

 

ちなみに造影剤は

オムニスキャン(直鎖型) と

マグネスコープ(マクロ環) です。

 

その結果・・・

多発性硬化症および脳転移群のいずれにおいても

DNP比のT1信号強度は漸進的に増加

 

MRIスキャンが6回以上行われた患者サブグループでは

最後の造影MRIのDNP比は、

多発性硬化症群(P<0.001)及び脳転移群(P<0.01)の

いずれにおいても

初回造影MRIスキャンのDNP比と比較して

有意に高かった。

 

DNPの相対的変動は造影MRIの回数と

正の相関を示しました。

 

結論として

多発性硬化症、脳転移患者では非造影T1信号強度の増大と

造影MRIの回数が直線関係にあることが示された。

この知見は、

腎機能が正常な患者において相当量のガドジアミドの

脱キレート化が起こっていることを示唆しており、

本剤の安定性に対する懸念を高めるものである。

 

今回検討した以外のガドリニウムキレート剤(リニア型及びマクロ環型)を

用いた比較研究を行うことが強く推奨される。

と言うもの

 

この論文が2014年です

 

で、前回の神田先生の2015年の論文で

直鎖型では現れるが

マクロ環型ではT1WIでの高信号は生じなかったと言う

論文が出て、ガドリニウム製剤の中でも

直鎖型がまずいぞ! ということが

鮮明となったわけです。

 

前回メルマガでさらに神田先生が

病理学的にもガドリニウム造影検査をされた患者様の

脳から実際にガドリニウムが検出されたというものが発表され

 

McDonald RJ, et al.  Radiology 2015, 275, p773

Intracranial Gadolinium deposition after contrast-enhanced MR imaging.

と題して発表されました。神田先生の5例を上回る

13例の造影群と10名の造影していない対照群を

病理学的に比較したものです。

 

非常に重要なことは 神田先生の論文同様

腎機能が比較的正常な状態 の被験者だということです。

13例の気になる造影剤の中身はというと

すべてオムニスキャンです。つまり直鎖型です。

 

以上23名の死亡患者の歯状核、橋、淡蒼球及び視床から神経組織を採取し、ガドリニウム沈着の定量化及び位置の特定を行い、その影響を評価した。

ガドリニウムの累積投与量、T1強調MRI画像における信号強度の変化及び

組織のガドリニウム濃度の関連性を検討

 

結果は(造影していない)対照患者の神経組織では、

いずれの試料でもガドリニウムが検出限界未満であった。

一方、造影群の患者の神経組織では、

組織1グラムあたりガドリニウムが0.1~58.8 mg含まれており、

非造影T1強調MR画像の信号強度の変化と

相関する有意な用量依存関係が認められた(r=0.49~0.93)。

 

毛細血管内皮及び神経間質におけるガドリニウム沈着が

認められたのは造影群のみであった。

 

結論として

腎機能が比較的正常な状態で、静脈内ガドリニウム曝露によって

神経組織沈着が生じる。

本試験で得られた知見の臨床的意義及び、本試験で検討した

以外のGBCAにもそれが適用されるかを検討するさらなる

研究が必要である。

 

この研究ではすべてが

オムニスキャンなので

直鎖型が悪いのかマクロ環型でも蓄積しうるのかは

示されていません(多種造影剤同士での比較試験ではない)。

 

しかし、

今までの病理学的裏付けのない

画像での歯状核、淡蒼球でのT1WI上の

高信号が直鎖型では生じるが

マクロ環型では生じないという結果と

合わせて

 

少なくとも直鎖型は

病理学的にもしっかりとした裏付けのある

T1WIで高信号を生じるほどの

ガドリニウムの沈着が生じている

それが比較的正常な腎機能患者様に生じる

ということが明瞭となったのです。

 

残るはマクロ環型での

病理で全く沈着が生じないのか

少しは生じるのか?ですが

これは誰も出したくない研究かもしれません。

なぜなら、これでも沈着するとなれば

造影剤そのものを使えない ということになってしまうからです。

 

そして、本日から

当院では直鎖型は後発品も含めて

使わないことに決定しました。

 

以上 すでに前からそんなことやってるよー

という先生もいらっしゃったかもしれませんが

先発品なら残っているのはオムニスキャンのみですが

後発品は今の所 直鎖型のみですので

後発品を使用するということは

直鎖型を使用するということなので

ご注意ください。

 

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