さて、久しぶりに11月の19日の土曜日
の休みにラジオロジーアップデート
(品川 東京カンファランスセンター品川開催)
というのに出かけてみました。
年2回開催され、既に
54回 という伝統のある会です。
今回は特に
LKの取り扱い規約が第8版(2010年7版以来)
になるというので
やばい、またアップデートしないと
という必要を感じたからです。
プログラムは14:00-17:10の長丁場で
肺高血圧を来たす疾患
神奈川県立循環器呼吸器病センター 放射線科 岩澤 多恵
肺癌取扱い規約第 8 版速報 東京女子医科大学 画像診断学・核医学講座 坂井 修二
薬剤性肺障害 国立がん研究センター東病院 放射線診断科 楠本 昌彦
血液マーカーから見た膠原病関連肺疾患 埼玉医科大学国際医療センター 画像診断科 酒井 文和
喫煙関連肺疾患(air-space enlargement with fibrosis を中心に) 滋賀医科大学医学部附属病院 放射線科 村田 喜代史
(先生 の敬称略)
の5演題です。
個人的には
肺がん取り扱い規約第8版
薬剤性肺障害
喫煙関連肺疾患
が気になりました。
講師も 坂井先生や楠本先生 そして
なんとも貴重な 村田先生のご講演まで
なかなか聞くチャンスはないだろう
という感じでした。
なので、土曜日は休むぞと
(実際にはサイトやメルマガ準備してます)
いつもは怠けぐせがついている自分も
頑張って聞きに行くぞ! と思った次第です。
「前置きいいから早く本題話せよ!」
と思われているでしょうから
今日はそのうちの坂井修二先生がなさった
肺癌取り扱い規約第8版速報
のところを一部だけシェアーしたいと思います。
まず大まかには
今回の改訂はT因子とM因子が主体です。
第7版まではT因子をこまかく6段階に分けられていた
のですが
それがシンプルになるどころか
第8版ではなんと驚くべきこにT1だけでも
肺腺癌のGGOを盛り込んで
5段階に分けられています。
Tis, T1mi, T1a, T1b, T1c と言った具合です
ちなみに
Tis は0.6cm〜3cmまでのGGOです。
(結節状のものはGGNと呼称していますので今後はそう言います)
T1miは、GGNの中の充実性成分が0.5cm以下
T1aは充実性成分が0.6〜1.0cm
T1bは充実性成分が1.1〜2.0cm
T1cは充実性成分が2.1〜3.0cm
となります。
このように腫瘍の形態分類としては
腺癌の lepidic growth の
GGN の概念をいれ
基本3つの段階つまり
すりガラス陰影のみpure ground glass type
部分充実型 part solid type
充実型 solid type
と明確になりました。
そのために
腫瘍径の測定が2段階に分けられています。
つまり、GGNを含めた腫瘍全体径と
充実成分(solid part)の径 の2段階です。
これはのちのちの詳細な検討のために
記録を残すという目的があるようです。
そして腫瘍サイズというのは原則として
充実性の径の事をさします。
GGN内に充実部分が複数箇所あるのであれば
最大の充実性成分の最大径を持って腫瘍サイズとなります。
なんだかややこしくなっていますね。
もう一つはM因子
7版では2段階すなわち M1a と M1b だったのです。
7版の段階で胸膜播種あるいは悪性胸水が
T4から M1a になったのですが
(ちなみにこの時のM1bは他臓器転移)
この他臓器転移を
単発のM1b と
多発のM1c とに分類したのです。
つまりMだけでも3段階になったわけです。
Mが3段階なんて・・・
恐ろしい・・・
いったいどうやって覚えればいいのか?
坂井先生は取り扱い規約を
スマホに写メして的なことを
言っておられましたが、
著作権的な事はいいの? と思いましたが
実際は施設で取り扱い規約を購入して
それを写メすることになるのでしょうね
(決して推奨している訳ではありません)
私は先生にいろいろ解説するという
必要上 取り扱い規約 を購入しますが・・・
多分また、画像診断さんか 臨床画像さん
だったかが、取り扱い規約をまとめた本を
出されるでしょうかね。
あ、転移についてのことですが、
その評価はどこまでで ある なし
を決定するのか?
は決まっていないようです。
例えば、肝メタの評価はCTのみで終了か
それともMRI さらにはEOBまでいくのか?
ここは胸部の専門家の話なのでEOBの
話は全く出てきませんでしたが。
さて、詳しいことは
J Thorac Oncol. 2016 Aug;11(8):1204-23. doi: 10.1016/j.jtho.2016.03.025. Epub 2016 Apr 21.
Travis WD1, Asamura H2, Bankier AA3, et al.
に書いてあると言われました。
早速取り寄せてみると
とてもこの英文を読む気にはなれません。
日本語の取扱規約が出るのを待ったほうがよさそうです。
ただ、この論文の中で
肺腺癌で見られるGGNを含む結節のCTと病理との対比の図が
Figure 1. として掲載されていたのでそれを
パワーポイントに転載したものをブログにあげます。
(著作権どうのこうのと言われるまで)
一定期間のみ掲載とします。ね
以下 上記論文 Figure 1より引用改変
以上イチロウでした。
なお
AAH=atypical adenomatous hyperplasia
AIS=adenocarcinoma in situ
MIA=minimally invasive adenocarcinoma
LPA=lepidic predominant adenocarcinoma
AD=adenocarcinoma
いつも迅速な情報提供ありがとうございます。
肺癌取り扱い規約の改定内容がよく分かりました。
秦先生 お久しぶりです。コメントありがとうございました。