バリウムが漏れたんだから、看護師に謝れ!
7施設の先生アンケートありがとうございます。
駅前のドトールより
イチロウです。
先週からアンケートをお願いしていたのですが
結局7施設の先生に回答をいただきました。
ありがとうございます。
簡単にまとめると
憩室出血の第一選択は”内視鏡”が大勢を占めました。
一人内科の先生が解答され、ほとんど止血に成功されているとか。
また、憩室出血をIVRに行く場合は
放射線科医が担当することが一般的であり
その場合は4/5 でIVRの専門医が施行
その3/4でIVR専門医かつ指導医の先生でした。
問題となっていたゼルフォームかコイルかという点では
コイルのみという回答が多く
その回答者は全員 IVR専門医・指導医
であったということで
コイルが一番安全なのでしょう。
また、一人の先生でバリウム充填療法を紹介されていました。
消化器病学会の2007年のポスターセッションの抄録(飯沼 瑞恵(横浜労災病院・消化器科))によれば http://archive.jsge.org/congress/detail/1504
この方法を20例に施行した結果を報告していますが、
成功率は60%で、1週間以内に4例が再出血、晩期出血が4例とのこと
5% でバリウム充填後の穿孔があったとのこと。
幸い腹腔内に漏れていないかった
ということですが、バリウムの腹腔への漏れと
それに伴うバリウム腹膜炎は非常に重篤な経過(死亡率22%)
をとるといわれています。
しかも5%の発生率で、成功率が60%となると
やや躊躇する方法です。内視鏡もIVRもできない場合の治療
ということでしょうが、それなら手術に行った方が逆に安全かもしれません。
内視鏡かIVRかの選択はやはり
施設の人員状況にもよる可能性があり
止血効果と再出血率の低さでは IVRですが
実際に施行する放射線科医が24時間365日オンコールな
病院はわずかでしょうから
マンパワー的に消化器内科医がおられれば
すぐに施行しやすいという点では内視鏡となるんでしょうね。
そして、内視鏡も困難、外科医もいないということであれば
バリウム充填法も考慮でしょうか。
私は以前というかかなり若いころ
私の不在中に看護師が誤って膣にバリウムを挿入して
非常勤医がそのまま注腸を施行し
腹腔内にバリウムが漏出した症例を経験し
翌日出勤してきたら大変な騒ぎになっていたことがあり
(その後腹腔内にもれたバリウムの洗浄を含めた大手術になりました)
穿孔率5%と聞くと、躊躇してしまいます。
しかし、こんな奥の手の治療法があるのは
全く知らなかったことです。
教えていただいた先生に感謝いたします。
今回、アンケートに回答してくださった先生ありがとうございました。
By イチロウ