FIREを欲しがる若い医師。昨日の回答

駅前のドトールより
イチロウです。

昨年から腰痛が改善せず、慢性化しました。
そのため毎日コルセットをしています。
また、1ヶ月前にも病気をして、体力的な部分での
キツさを感じています。

なので、どこまでどう働くのかをよく考える様になりました。
そうなると年金のことは絶対に外して考えてはいけなくなります。
そもそも年金とは、以前のメルマガでも書きましたが
何歳まで生きるとして、損する年齢、得する年齢という動画が
氾濫していますが、考え方が間違っています。

特に手に職を持っている人間で引退年齢がない場合は
引退する年齢は自分で決められるので
年金というものの考え方は長生きしたときのリスク対策、保険と
捉えるのが重要と思います。

よくメドピアのスレッドで30−40歳台くらいの医師が
早く働くのをやめてFIRE したいと言っているのを見かけますが
FIRE することがそもそも目的になっている様に見えます。
個人的には実際にはFIRE している人ほど 効率的に(人に忖度せず)ある程度働き
社会貢献的な仕事をしているものだという印象を持っています。
決してFIREしてブラブラしていることはない様です。

これ以上話すと昨日の回答編が長くなりそうなので、今日はこれくらいのぼやきで
では、ブログへ飛びましょうか。

昨日の症例は、非常に簡単なのですぐにわかったと思います。
69歳男性で、糖尿病、背部痛から上腹部痛があり
ダイナミックCTを近医から依頼されました。
画像はdynamic CT, dynamic MRIです。

CTではダイナミック造影で脾臓に単純CT上低吸収域結節を認め、
造影とともに徐々に辺縁から点状・結節状の濃染がみられ、それが
平衡相で内部に広がっていくという、肝臓でよく見かける所見を示しています。
もうこれだけで、血管腫と診断可能です。

消化器内科に紹介となり、内科から、造影ダイナミックMRIがオーダーされました。
T2WIで高信号を示して、比較的内部均一で、ダイナミック造影パターンはCTに類似し
拡散強調像では拡散制限はありません。ADCmap が高信号です。
なので、一般的に言われている脾臓の海綿状血管腫パターンです。

実はこの症例、病理がなく、臨床診断のみで経過観察となっています。
実際、脾臓を取るというのはよほど悪性が疑われないとやりにくいので
脾臓の血管腫の病理を確定することは難しいかもしれません。

Giovagnoni et al. Tumours of the spleen.
Cancer Imaging. 2005 25;5:73-7.  の論文では画像は全くないのですが、

脾臓血管腫の2つのパターンすなわち海綿状(ほとんどこちら)
毛細管性の2つが知られていることを述べ、
CTでは毛細管性の場合は、均一な造影効果を伴う、小さく、境界がはっきりした
均一な等吸収域から低吸収域の腫瘤
海綿状血管腫は、毛細管性より大きく、等吸収域あるいは低吸収域で
多かれ少なかれ、等あるいは低吸収域の嚢胞性部分を伴う
ダイナミック造影早期に早期に辺縁の結節状濃染を呈し、徐々に濃染が広がり
遅延相では均一な濃染となる と述べられ、肝血管腫との類似性に言及しています。
中心に散在性の石灰化、辺縁の弧状の石灰化を生じることがあります。

Gourtsoyianni S, et al. The Spectrum of Solitary Benign Splenic Lesions-Imaging Clues for a Noninvasive Diagnosis. Diagnostics (Basel). 2023;13:2120.
https://www.mdpi.com/2075-4418/13/12/2120

では剖検時に患者の最大で14%にもみられると言っています。
無症候性、孤立性あるいは多発性、成長はゆっくりなので、
症状や合併症(破裂、脾機能亢進症、悪性変性, 貧血、血小板減少、凝固障害)を
生じるのはずっと後である。
Klippel–Trenaunay syndrome, Kasabach–Merritt syndromeとの関係もいつもの様に
述べられています。であることは稀中のさらに稀。

この論文では、血管腫は境界明瞭で、直径が2cm未満の類円形病変で
石灰化や嚢胞性変化が最大で30%にみられる場合がある と述べられています。
超音波上高エコーが最も一般的。非造影CTでは低吸収域
T1WIでは低信号から等信号、T2WIでは高信号
ダイナミック造影では肝臓血管腫と類似していると述べています。
自然破裂は25%と言っていますが、少し多すぎる様に思われます。

Ros PR, et al. Hemangioma of the spleen: radiologic-pathologic correlation in ten cases. Radiology. 1987 Jan;162(1 Pt 1):73-7.
古い文献ですが、10例の脾臓血管腫を検討したものです。
古い論文ですがGiovagnoni らの述べた石灰化と同じことを言っています。
特に病変に石灰化や嚢胞性変化がある場合には脾臓血管腫の診断を示唆するとも述べています。
石灰化は過誤腫でもみられるので、嚢胞性変化は過誤腫と鑑別できるのかもしれません。
ただ、小さい血管腫には当然嚢胞性変化はありません。

肝胆膵の画像診断 改定二版のp620-21
では肝血管腫の造影パターンに類似するがperipheral nodular enhancement
の結節状がリング状に近い感じと 画像1例を添付しています
Gourtsoyianni S,らの提示画像のFig.6でもそんな感じの脾臓血管腫が添付されています。
以下引用

以上、基本的には脾臓の血管腫は海綿状血管腫が主体で
剖検では多い報告では14%と決して稀中の稀というわけではなく
T1WI で低信号、T2WIで高信号(肝と類似かやや低い信号)で
ダイナミック造影では肝血管腫と類似するも、リング状に近い濃染もある
大きくなると石灰化や嚢胞性変化を呈する。石灰化は必ずしも過誤腫との
鑑別点とはならないが、嚢胞性(おそらく肝臓と類似して均一な嚢胞)変化は
過誤腫と鑑別になるかもしれません。また、ダイナミックは遅延相では均一濃染し鑑別
が難しいですが、早期相は過誤腫は脾臓のそれに類似しあるいは不均一濃染で
血管腫は肝臓のそれに類似 と覚えておけばいいかもしれません。

以上です。

EASY PI-RADS 昨日締め切りました。

後、EOB も今週7/8で一旦締め切ります。

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FIREを欲しがる若い医師。昨日の回答 への1件のコメント

  1. 秦 康博 より:

    今日も勉強になりました。ありがとうございます。

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