後悔が残るのですが、他に方法がなかったのです。

インターチェンジでスタバを買って
家で飲んでいます。
イチロウです。

さて、久しぶりのメルマガ投稿にもかかわらず
迷える子羊のイチロウのIVR症例に
コメントを下さった先生方ありがとうございます。

結局この症例は前回メルマガのように
血管造影で背側膵動脈の末梢から仮性動脈瘤を形成し
じゃぶじゃぶと血が出ていましたので
いち早く止めに行こうと思い

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メルマガ読者の先生はこちらから

背側膵動脈に子カテーテルPrograteβ3で背側膵動脈に選択し
造影を施行すると末梢から仮性動脈瘤が描出されました。
しかし、後から考えると若手が挿入した枝は背側膵動脈が2つに分岐している
うちのもう一つの方で、素直に目的の血管に到達できない方でした。
その時には冷静に考えられなかったので
ここからさらに進めるのはきびしいと言う考えとになり

主治医との相談後、熟慮した結果。命を救うことを優先し
血流を落とすことを最優先し、ゲルフォームを少々注入しました。
これにより仮性動脈瘤は消失。
GDAよりからも出血があると考え、次にそちらを造影
仮性動脈瘤があったと思われる血管近くまで到達できましたが、
それ以上進めると親カテーテルが跳ねそうになってしまい
これ以上の子カテーテルの前進は難しいと判断。

造影剤の血管外漏出はなかったものの
ほんの数個のゲルフォームを注入しました。

結果、腹腔動脈造影では膵頭部の血流はなくなっているところが見えています。


塞栓はうまくいってもゲルフォームなので
膵実質の壊死は免れません。
元々膵酵素が最近恒常的にやや高かったのですが
それが案の定 治療翌日には4桁になってしまいました。
2日後のCTでは止血は確認されましたが
結局は多臓器不全となってしまいました。

やはり今後はIVRの得意な施設に送るべきでしょうね。
特に若い患者の場合は腕のいいIVR医に渡すのがベストなのかもしれません。

以上 いろいろと大反省のイチロウでした。

さて、本年は全員にお送りするメルマガは最後となります。
来年はコロナがもう少し鎮静化することを祈ります。

コロナのおかげでインフルが例年の0.5%と言うことですから
コロナにインフルの防御法を教えてもらったようなものです。

来年また、メルマガを再開できるよう私も頑張ってみます
では良いお年をお迎えください。

松本先生救急セミナー
http://medicaldirect.jp/archives/5649

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募集締め切りは本日 28日よる23:00
講演視聴は明後日から31日までの3日間です。お間違えのないように。

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後悔が残るのですが、他に方法がなかったのです。 への4件のコメント

  1. 一応ivr専門医 より:

    膵臓はもともと虚血にはなりにくい臓器ですし、この症例はアンラッキーだったと思います。またnbcaも使わなくて正解だったと思います。nbcaは保険適応外ですし、nbcaで治療しても同様の結果になった可能性があります。膵炎や膵壊死が増悪したのはnbcaのせいだとあとで問題になっても言い訳出来ません。使う前にしっかり説明しておかないと場合によっては裁判沙汰になります。
    瘤までカテーテルが到達できれば話は変わってきますが、たぶんこの症例はかなり困難だと思います。わたしなら同様にゼラチンで、軽めに詰めるか、近位塞栓でよいのでコイルで詰めたかもしれません。近位塞栓なら側副路ができて再出血のリスクはありますが、膵虚血は避けられたかもしれません。
    ちなみに今回の症例はなぜ瘤ができたとイチロウ先生は考察されていますか?
    もともとの膵炎からの炎症?SAM?動脈硬化? 弓状靭帯狭窄ではなさそうですね。

  2. ジョイス より:

    イチロウ先生、非常に難しい症例のご紹介ありがとうございました。IVRは症例ごとに対応が異なり、正解が無い場合が多いのでいつも悩みまです。いつくかご提案できるアイデアとしては、5Fr.のバルーン付きのカテーテルを腹腔動脈にかけると時間稼ぎができるので、ゆっくり検討することができるかも知れません。また背膵動脈のカテを外さず、GDAからもアプローチする時は大腿動脈を二本差しして腹腔動脈に2本親カテをかけて、別々にアプローチする方法も考えられます。あとはトリアキシャル(親、子、孫カテ)システムの利用も一つの方法です。当院は肝胆膵手術が多く、術後トラブルでたくさん悩んだ症例があり、現在はこれらの方法を使って対応しています。ご参考になれば幸いです。今年もお世話になりありがとうございました。来年も情報発信を楽しみにしております。

  3. ichirou より:

    ジョイス先生へ
     5Fr.のバルーン付きのカテーテルを腹腔動脈にかけると時間稼ぎができるという技術というかアイデアは知りませんでした。カテーテルの2本ざしというのも大昔にやったことがありますが、経験数の少なさから多分手が出ないでしょう。15年若ければやっていたのかもしれません。トリアキシャルは流石にありませんが、私にはハードルが高そうです。やはり私のレベルのIVRの技術と経験では今回の方法が限界なのかもしれません。どうか若い患者様がいらっしゃらにことを祈るのみです。
     ご丁寧なコメント本当に感謝いたします。ありがとうございました。

  4. ichirou より:

    一応ivr専門医 先生へ
     NBCAは私は経験値も少なく、実際に大学にいたときに教授する先生もおられませんでした(大学から去る前の5年間はIVRは大学で一切していませんでしたし)。なのに幸か不幸か使おうという発想は湧きません。でも、保険適応外ということで壊死に陥ったら裁判沙汰の可能性ということで、使えないことはむしろいいのかもしれません。都合の良い納得の仕方かもですね。
     実際に普段IVRをやられておられる先生から難しいと言っていただけると少し気が楽になります。近位でコイル塞栓はあの部位なので側副血行路がすぐにできると思ったので、isolation ができる部位に到達できなければコイルはしなかったと思います。
     http://medicaldirect.jp/blog/?p=1313
     このときのようにうまくいったらよかったのですが、、、

     ちなみに出血原因としては
     今回は弓状靭帯狭窄でもなく、SAMでもなさそうなので、アミラーゼがやや慢性的に高かったことを考慮して慢性膵炎か動脈硬化を考えていました。

     このような ご丁寧なコメント本当に感謝いたします。ありがとうございました。

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