60歳台女性気胸 なにが珍しいの?

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おととい画像を提示させて
いただいた60歳台の女性例

あまりに簡単すぎて
つまらない
という声も聞こえてきそうです。

なぜ出したかについての
理由を
お話ししたいと思います。

先生が胸部カンファランスを担当されていたと
仮定してみて
症例を臨床側から提示されたと
おもってシュミレーションしてみると
どうでしょうか?
なにか かれらにコメントできるのかどうか?
です。

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まず3日前の単純写真
非常に難しいです。
右肺門血管に重なってしまっているからです。

カルテでは検診の胸部CTで見つかったとありました。

さすがにCTは描出されており
初診時右S6に不定形のair bronchogram を有する腫瘤が見られ
その1か月後に同部に気胸を生じています。
この間なにか治療をしたわけではありません。
もちろんTBLBは行われています。

結果は 非喫煙女性に生じた 腺癌
ということです。
ここで違和感を感じなければ
それはそれで知識が少ないのかもしれません。

例えば、文献的に古いですが
日呼吸会誌.1999;37:51-54 では
31歳男性の気胸契機に発見された若年肺癌を
報告しているのですが
考察内では

肺癌に気胸を合併する頻度は0.03-0.85%と低い
男性90%以上、組織はSCCが多く、大細胞癌が次に多い
肺癌好発年齢が60歳台であることに比して
気胸合併肺癌はやや若年の57.1才 と述べられています。

私が調べた限りの日本語論文(1987-2017年)を集めた26例のまとめでは
男性:女性=24:2  で男性92%と同じ傾向
年齢は 平均58.1と類似。中央値は62 才
論文内に記載のあるものについては女性の1例をのぞいて
全例 喫煙歴あり
組織系は 扁平上皮癌が13例、腺癌が次に多く9例、次に
大細胞癌2例、カルチノイド1例、絨毛癌1例
でした。

男性優位、年齢は50歳代後半、喫煙歴までは同様ですが
組織系は以外にも 腺癌が多かった
というものです。

今回ご提示させていただいた症例は
女性、喫煙なし、60歳台、腺癌 という事で
やや稀な状況かなと 思います。
ただし、腺癌もSCCについで多いので
カンファランスで 「腺癌は珍しいですね。」
というコメントは控えておいたほうがいいかもしれません。

あと、気胸を合併することは稀 と記憶しておくのはいいですが
機序について 論文では 3パターンを記載しているようです。

①腫瘍の臓側胸膜への直接浸潤により気管支胸膜瘻形成
②閉塞した気管支のcheck valve 機構に伴う末梢肺の過膨張によりブラが破裂
③無気肺に伴う他肺葉の過膨張によりブラが破裂する

今回の症例はまさに肺癌が最初のCTで胸膜にくっついている状況から
①腫瘍の臓側胸膜への直接浸潤により気管支胸膜瘻形成

ではないかと推察します。

本日は 60歳台女性 が検診で発見された肺癌が
初診時後 1か月後に気胸を呈した症例
手術が行われ 腺癌 判明

ポイントは 気胸合併肺癌は1%と稀である
通常は男性優位(92%)、喫煙者 だが
SCCばかりというのは嘘で SCC>腺癌 ではあるものの
腺癌もそこそこいる という ことでした。

以上イチロウでした。

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