上腹部の異物の写真 

駅前のドトールより
イチロウです。

昨日の症例
昼食後に激しい腹痛を訴えられ
腹部CTを施行し、
異物を十二指腸球部付近に発見され
内視鏡をやったのですが
内腔には何もありませんでした。

つまり異物は消化管外に存在していたようなのですが
では一体なんなの?
ですが、CTでわかるのは
金属とするにはメタルアーチファクトが乏しく
魚骨とするには濃度が高い

うーんと迷ってしまいます。
そこでコンサルト時に出した結論は
鳥の骨(見たことないのですが欧米では多い)としました。

CT画像は

でしたが、コンサルトが終わって
違和感を感じたので
単純写真を見ることにしました。
すると一瞬で考えが変わりました。

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以下  単純写真の画像は・・・

そうです。金属です。
(慌てて電話し、”金属” と訂正しました)
しかし、どうして金属が・・・
しかも細い金属の針金だったので
メタルアーチファクトが起こらなかったというわけです。

しかし、なぜこんな金属が体に・・・

ちなみに今回の腹痛との関連性はわかりませんが
少なくとも今回 この針金が穿通したわけではない
と思われます。理由は周囲の脂肪織等の変化が乏しすぎた
からです。

しかも、腹腔内遊離ガスもない
ただ、単純写真上は動いているように見えたので
手術してもらって除去した方が良い と思われました。

単純写真や時間が異なるCTでは移動しているように見えますが
実際には胃体網動脈近傍に強固に癒着していたようです。

画像から術前に我々が想像して言い当てることを
ある外科医は
”術前病理” と呼んでいました。

放射線科医は特に
開けた時 やっぱりそうだった と常に外科医から

言ってもらえるよう
経験値をあげるしかありません。

AIに負けないようにしたいものです。

でも、なぜこんな金属が腸管外に・・・
バーベQの網かなあ とも思ったのですが
その後カルテを見てても 由来について追求している
内容が書かれていなかったので残念です。

ちなみに術前には
①異物は金属です。細いと答えればさらによし
②腸管外に存在、今回穿通したわけではない
③今回の症状とは直接関連あるか微妙ですが、関連性は否定できない

と言えれば100点でしょうか?

ちなみに金属のその金属の写真 外科の先生お見せいただきありがとうございました。

以上 イチロウ 拝

ちなみに 鳥骨の報告は非常に少なく

阿 部 裕ら。鳥骨による小腸穿孔の1例
日臨外会誌 69(11),2897―2899,2008
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/11/69_11_2897/_pdf

鎌田和明ら。鳥骨異物の大腸穿通により発症した肝膿瘍の ₁ 例
日本消化器内視鏡学会雑誌 2017 年 59 巻 3 号 p. 296-297
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/59/3/59_296/_html/-char/ja

簑原沙和ら。穿孔部が自然閉鎖した鶏骨による小腸穿孔の 1 例
日臨外会誌 78( 5 ),1004―1007,2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/78/5/78_1004/_pdf/-char/en

特に最後の鳥骨
2012年 4 月中旬に手羽先を摂食し,翌日か
ら間欠的な腹痛を自覚した.という病歴
気をつけたいものです。CT引用図は以下

似てます。

Fig1より引用

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