駅前のドトールより
イチロウです。
さて、今週消化器関連の
カンファランスが開かれるのですが
内科が画像のプレゼンをお願いします
と持ってきたのが
Phlebosclerotic colitis あるいは
mesenteric phlebosclerosis
です。
聞いたことがあれば
診断は簡単なのですが
知らないと全く診断できない
というものです。
しかも原因がはっきりしていて
日本に多く見られるものです。
日本語に直すと
”静脈硬化性大腸炎” または”腸間膜静脈硬化症”
です。
ここで 経験したことのある先生なら
あーあれね。ですが・・・
特徴は何と言っても
CT上の静脈の石灰化です。
動脈ではありません。
しかも、大腸の静脈のみがおかされ
小腸や胃の静脈には異常が見られないことが
特徴的です。
1993年に岩下らが静脈硬化症に帰因した
還流異常による虚血性大腸病変として新しく提唱した疾患概念で
女性に多く
本邦からの報告が多いとされています。
初期には盲腸から上行結腸に限局発症し,
経過とともにしだいに肛門側に進展する
と考えられているようです。
症状は腹痛,便秘,下痢,嘔吐など
原因は漢方薬、
中でもサンシシがその原因の一つとする報告が多いようです。
は? 三枝氏 とワープロは訳してしまいました。
違う違う いらっしゃーい ではありません。
私も知らなかったのですが
サンシシとは何か?
漢字では 山梔子 と書くようです。
と言われましても・・・
サンシシはくちなし の果実を言うようです。
くちなし といえば
くちなしの花(くちなしのはな:6裂の白い花)ですよね。
石原軍団のトップ
渡哲也が1973年8月21日に発表したシングル曲(思いっきりフルーーーーーイ)
いやいや 横道それました。
そのくちなしの 果実がサンシシで
漢方処方としては
鎮静、消炎、止血、解熱、利胆 を目標に
精神不安、充血、黄疸に用いられるそうです(生薬単:p124より)
そのサンシシの中に ゲニポシド という成分が入っていて
ゲニポシドが大腸の腸内細菌によって加水分解され、
生成されたゲニピンが大腸から吸収されて
腸間膜静脈を通って肝臓に到達する間に、
アミノ酸やたんぱく質と反応し、青色色素を形成するとともに、
腸間膜静脈壁の線維性肥厚・石灰化を引き起こし、
血流を鬱滞させ、
腸管壁の浮腫、線維化、石灰化、腸管狭窄を起こす
(Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal
VOL.9 NO.1 MARCH 2004 p50より)
と考えられている。
病理学的には
静脈壁の著明な線維性肥厚と石灰化、
粘膜固有層の著明な膠原線維の血管周囲性沈着、
粘膜下層の高度の線維化
CT画像のみでほぼ確定診断が可能で
画像的な鑑別はありません。
EXPERIMENTAL AND THERAPEUTIC MEDICINE 7: 583-586, 2014(台湾の雑誌)
Exp Ther Med. 2014 Mar; 7(3): 583–586.
によると日本が75%, 台湾が17%、香港が3%, 韓国が4% と報告しています。
日本の文献 2009年の比較的(ですが)あたらしいものでは
川崎医学会誌 35(2):171-178,2009 で
静脈硬化性大腸炎 69 例の報告(学会抄録を除く)を
まとめてくださっていて
発症年齢は 28 ~ 80 歳
(平均 60.8 歳)と中高齢者に多く,男女比は 1.1
(男性 36,女性 33)とほぼ男女に等しく見られるようです。
画像は特徴的です。
カンファランスの直前くらいにまた出しますね。
イチロウ拝
PS. さて 本日23:00で ディスカウントがなくなります。
ので、6月30日に時間がどうしても取れない以外は
聞いておいて損はありません。
第一回のをやや修正して
症例も少し入れ替えますね。
EASY PI-RADS 略して イーパイ